昨日の友達ついでに
今日も友達を。

この曲聴きながら
読んでもらえれば幸い。
 


奴との出会いは
13年前になるんかな?

自分はパルプを
始めたばっかの頃。

良く行ってた
居酒屋に
ある夜から従業員として
入店し紹介されたのが
はじめまして。

笑顔が特徴的で
太っちょで
スケベで
しかも同じ歳。

二人とも当時
23歳。


彼以外にも
10代の子達が
慕ってくれてて
週4のペースで
毎夜パルプ終わりに
行っては朝まで飲んで
楽しい日々を
過ごしてました。


いつ行っても
朝方に行っても
変わらぬ態度で
いつもの笑顔で

同じ歳なのに
ずっと敬語で
やめてよと言っても
尊敬してるんで
敬語がいいんですって。


彼は自分みたいに
いつかは店をと
夢見て修業に励んでました。


だからか
仕事には
真面目過ぎるのか
10代の女の子と
噛み合わず
彼が休みの時は
朝までその子達の
愚痴を聞いたもんです。



ちと息抜きにと
パルプに誘うも
自分がもう少し
仕事が出来る男になるまでは
我慢させて下さい。
今はk介さんが
店終わりにリラックスして貰える為に
店で頑張りますだって。


ホントに頑固で
職人気質な男です。



そして
その次の年の春の終わり

奴は突然
入籍しました☆

彼女の事は
話には聞いてましたが
店では女好きのスケベキャラ
みんなは驚き
笑ってましたが
自分は
なるほどぉー
自信が掴めたか?
なんて浮かべ
カウンターで感動を噛み締め
祝杯しました。

その翌日
『やっとパルプに行けます!
休みが決まりましたら
連絡しますので
よろしくです!』

そのメールを
即保存したのは
言うまでもありません。





その店の店長とは
自分が16歳から
可愛がってもらってまして
プライベートな遊びにも
よく呼んでもらい
参加してました。



そんな
1998年の夏

ある夜
店長に海に誘われました。

その店のスタッフと
お客さんとで
日本海でBBQをする
お誘いでした。


もちろんと即答しましたが
数日後パルプに
予約が入り
行けなくなり
その夜に
店長に謝りに行くと
いませんでした。



奴はとても残念そうに

『ホントに行けないんですか…?』

『実は その日
自分 休みだったんです…。』

『やっと初パルプ
行けると喜んでたのに…。』

『k介さん行かないなら 俺も行きたくないな…
休みの日に
お客さんと過ごすのは
疲れますからね…。』

『ねぇー
行きましょうよー。』

『行って下さいよー。』



その日の奴は
珍しいぐらい弱気で
どうしても
自分と過ごしたかった
様子で…。

疲れてたんでしょうね。
仕事に慣れれば
次を求められ
それを苦しさ出さずに
毎晩こなして。





そして
BBQ当日。

良い天気になり
パルプの開店準備しながら
いいなぁー
みんな楽しんでるかな?

奴は店終わりで
日本海直行やし
ハイテンションやろなー
なんて思いながら
仕込みも終わって一息。



夕方3時過ぎ。



携帯が鳴り
見ると着信は
店の10代の子。

冷やかし電話
かけてきやがったなー
って通話ボタン。


『はぁーい♪』


って電話に出ると。


『k介さん!△※♯◇×……。』


ん?
初めは酔って
叫んでるんだと
笑ってましたが。


『△★♯=※☆ちゃんが…』


『〇〇〇ちゃんがぁーーー…!』


泣いてるのと
叫んでるのと
聞いた事ない
潰れそうな声だった。



電話の子に
『しっかりしろ!
何があったんや?』
って強い口調で

 
そして
その聴きとりにくい
電話からの言葉を聞き 
膝と首と耳と頭を
撃ち抜かれた様な
衝撃と嘘みたいな震えが
始まった。




 
【奴が…】





【奴が死んだ…!?】





信じられる訳がない。

一瞬
嘘なんだろ?

いつもの
悪ふざけ…?



なんで?

何があった?

死んだって何?



電話口の子は
わーわー泣き

その向こうで
誰かが叫んでる。



地獄だ。








何故死んだ。

そんな理由も分からず

パルプの予約客に
連絡するのも忘れ
時間に店の玄関を
ノックする音が
ずっと響き
店の電話も
鳴りっぱなし

しかし
真っ暗な店内に
うなだれるのみ。




深夜
店のスタッフ
お客が
店に帰って来たと
連絡があった。

すぐに
向かった。

やはり
奴がいない。

みんな
やつれた顔だらけ。

また見た
地獄。




死因は
心臓マヒ。



寝不足の状態で
お酒飲んで
海にダイブした事で
心臓が止まった。



熱々の油に
天ぷら粉を
落とした時みたいな
状態だったんだろな。


苦しむ姿もなく
ダボーーーン!
プカーーーン。



近くでボート乗ってた
お客さんを
驚かそうと。


何やってんだよ。



しかもだ
救急隊が来て
蘇生させようとするも
胃にモノが入り過ぎてて 遅れる始末。




そして
新婚で幸せのはずの
奥さんに
初めて会えたのが
お通夜だった。


気丈に役目をこなす
彼女の姿に
胸が痛み
涙も止まらない。




あの時
一緒に行ってれば
運命は変わったかもしれない。


奴が悲しそうに
一緒にと…。



パルプに来れる日だった日

奴は死んだ。


見て欲しかったな
パルプ
そして自分の
仕事ぶり。

そしたら
きっと
タメ口で話せて
もっと親友になれたのに。


後日
店長が奴の履歴書を
見せてくれた。

特技の欄に
水泳と…。

壮大なコントだな。

ホントに
どこまで人を
楽しませてくれるんだ。

アホは死んでも
治らない。

まさにだなっ。





もしもし。

そろそろ
生まれ変わったか?

それとも
まだ悲しみの中
さ迷ってるか?



俺が結婚して
同じ様に
死にかけたのを
助けてくれたの
お前もその一人だろ?

しかも
二度も(笑)


知ってるよ。

ありがとう。






上の一言メッセージ
コチラにもありますが
夏に亡くなった奴の話。

これを見て
この夏。

できればこの先
ずっと訪れる夏に
一人でも
水死しない事を
願って。

彼も若くして
水死した天才
ジェフ・バックリー。
 
鎮魂歌を。




ハバ☆ナイス