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さて
豪華客船による
馬鹿ンスも はや三ヶ月。

そろそろ飽きてきたんで 列車に乗り換える事にした。


途中 甲板で仲良くなったカガーリンって言う
国籍不明で
いつもタメ口で
タメ息ばかりついてる
次男坊とは
お別れです。


その代わりと言っちゃ~ アレだけど
自販機の下で見つけた
紫色に光りを放つ
段ボールの切れ端を
とりあえずひと舐めし
被り慣れてない黒のニット帽に隠して
連れて行く事に決めた。




思いがけず
潮風と太陽光とワイドショーに
大切なキューティクルを 傷めつけられて
長く伸びた髪を切らなきゃいけなかったのは
想定外だったし


切った髪が
潮風に乗って 海へ落ち
海藻みたいに漂い


それを
金目鯛と水クラゲが
奪い合い沈んで行く状況は 見ていて
気持ちのいいもんではなかった。



でも
悪い事ばかりでは
なかった。


この三ヶ月
毎晩 見事な月が
夜空をくり抜き
荒れやすくて有名な
この四角い海を
なだめ続けてくれたから。


その穏やかに揺れる 水面に映る月と
夜空の月は双生児なお月様に見えた。







想い出を2色でなぞってたら
12:25発車予定の
列車がホームに入ってきた。



乗車するか
少し悩んだけど

列車の曇った窓に
誰かが描いた文字に
心くすぐられ 乗車。



窓には

『もう少し 頑張るつもり?』

って描いてあった。




短いトンネルを二つ越えて

その下に 僕は

『待ち望む人がいるからねっ。』

って返す様に指で描いて
別れ際に
ガガーリンから貰った
安っぽいサンドイッチを 流れる電線を目で追いながら
胃に入れた。



揺れる車内
次の停車駅のポストから
差し出す為に
手紙を書き

隣り近所の人らに
知らせておこうと
列車の揺れの妨害を楽しみながらペンを走らせた。



『大晦日には一度帰ります。パーティーの用意よろしくね。』




夏の終わりに始まった
この馬鹿ンスも
一旦帰宅。



年末年始は
忙しくなるなぁ…。




手紙を書き終え
二度読み返し便箋にいれた頃には

外は
夕方が夜とバトンタッチをしようとしてた。




嬉しい事に
あの月が追いかけてくれていた。


今夜は満月だ。