令和6年5月17日に,無事国会で「離婚後共同親権」の民法改正が成立しました。2年以内に施行される予定です。

 

 

 

 

 

 

その「離婚後共同親権」の民法改正を受けて,私が担当させていただいた「離婚後単独親権制度違憲訴訟」の原告の方が,訴訟HP上でコメントを発表なさっていますので,以下でご紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

「離婚後単独親権制度」については,さまざまな原告の方やさまざまな弁護士の方が果敢に憲法訴訟として挑戦をされた問題でした。さまざまな観点からさまざまな主張が生まれました。そして現在では,東京高裁と大阪高裁で「親による子の養育は,親にとっても子にとっても基本的人権である」との判例が出されるに至っています。司法による法創造がされたように,私は感じています。

 

 

 

 

 

 

 

その上で改めて「離婚後単独親権制度」への果敢な挑戦という観点から振り返りますと,2019年3月26日に東京地裁に違憲訴訟を提起された「離婚後単独親権制度違憲訴訟」の原告の方による,たった1人での挑戦が,そもそものスタートだったな,と改めて思います。勇気ある方が,国を変え,法律制度を変えらえたように感じています。その勇気をたたえたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

たった1人の市民でも,裁判所に訴訟を申し立てて,論理と証拠を積み重ねれば,国を変えることができるのです。それが「法の支配」です。その意味で今回の「離婚後共同親権」の民法改正は,「法の支配」の理念が発現したもののように感じています。

 

 

 

 

 

 

 

(「離婚後単独親権制度違憲訴訟」の原告の方のコメントをご紹介いたします)

 

 

 

 

 

 

 

離婚後に子供が両親と時間を過ごせるように/作花共同親権訴訟/離婚後単独親権違憲訴訟HP

 

 

 

 

 

 

離婚後の共同親権制度を導入する改正民法が成立しました

 

 

 

 

 

 

2024/5/17 


 

 

 

 

 

私(原告)が共同親権と憲法の問題について意識するようになったのは、今から約9年前の、2015年12月16日のことです。この日は最高裁大法廷で「夫婦同姓制度は合憲である」との判断がされた日でした。ニュースを見ながら「夫婦同姓の問題は、離婚後単独親権の問題と同じなのではないか」と感じました。夫婦同姓制度は、結婚する夫婦の一方の名字を一律・強制的に奪うものですが、離婚後単独親権制度は、離婚する夫婦の一方の親権を一律・強制的に奪うものだからです。その後、幸運にも弁護士の作花知志先生に巡り会い、「離婚後単独親権制度は違憲である」という国家賠償訴訟を提起することができました。

 

 

 

 

 

本日、国会で離婚後共同親権制度導入の改正民法が可決・成立したことは、大変喜ばしいことです。これにより、両親の離婚に際して、お母さんやお父さんとの関係を断たれても声をあげることすらできなかった子どもたちや、子どもとの関係を断たれたお母さん、お父さん方が少しでも慰められ、離婚による親子生き別れの悲劇がこれ以上起きなくなることを願っています。

 

 

 

 

 

ただし、離婚後共同親権制度は、「導入すればそれで離婚にまつわる問題がすべて解決する」というようなものではないと思います。離婚後共同親権制度は、単独親権制度と比べるとメリットが非常に大きく、デメリットが小さい制度ですが、デメリットを最小化するためには、現行の制度よりも緻密な実務上の制度設計や運用が必要です。また、共同養育をしようとする当事者やその支援者の意識も重要です。共同養育がうまくいくかどうかは、両親を含む大人が、大人としての責任感を持って、自分の利益ではなく子どもの利益を中心に考えて行動することができるかどうかにかかっているからです。最も弱い立場にある子どもの利益を守るのは道義的に当然のことです。しかし、現実的に考えても、離婚した両親が共同養育をするために確実に共有できる目標は、「子どもの利益を守る」というただ一点しかありません。(中略)



 

 

 

 

最後になりますが、この共同親権訴訟の訴訟代理人を引き受けてくださった、作花先生に、この場を借りて改めて感謝を申し上げたいと思います。共同親権訴訟により、「子どもの養育は親子双方にとって人格的利益である」という裁判所の判断を得ることができ、また離婚後単独親権制度の問題を世に提起するという点でも、離婚後共同親権制度の導入に貢献ができたと感じています。本当にありがとうございました。
 

 

 

 

 

原告