以前にもこのブログでご紹介したのですが,特に改正民法が施行された後の,令和8年4月1日以降に,一方親により子が連れ去られて,さらに親子交流が拒否されている案件について,他方親が申し立てた監護者指定や子の引き渡しが認容される事例が続いているようです。保全が認められる事例もあるようです。明らかに裁判所の姿勢が変化してきたことを感じています。

 

 

 

 

 

 

1つのポイントは,改正民法の824条の2の1項3号で,子の居所の変更には両親権者の同意が必要であることが明文化されたことが大きな影響を与えていると思います。

 

 

 

 

 

 

もう1つのポイントは,以下で引用させていただく司法研修所の書籍で,子の連れ去りと親子交流の拒否を行う親は監護親として不適格であると明確に記載されたことがあると思います。

 

 

 

 

 

 

改正民法の施行後に,いろいろと裁判所における変化を感じていることは,このブログでもご紹介してきたとおりです。子の連れ去りと親子交流の拒否に対する裁判所の評価が変化してきたことは,両親が離婚する場合でも,親子の関係には可能な限り影響が与えられないようにしなければならないという改正民法の基本的な理念そのものが大きな影響を与えていると,私は考えています。またそのような事例がありましたら、ご紹介をさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

(引用をさせていただきます)

 

 

 

 

 

 

 

令和6年8月に刊行された司法研修所編『子の監護・引渡しをめぐる紛争の審理及び判断に関する研究』の42頁以下は,子の監護者指定の判断の枠組みの1つとして「エ 他方の親と子の関係に対する姿勢の評価」を挙げた上で,以下のように記載しています(47頁以下)。
 

 

 

 

 

 

 

「第2で述べたように,一般的に,父母の別居・離婚後も,父母が子にとってかけがえのない親であることに変わりはなく,子が父母双方と関係を維持し愛情を受けられる状況を作ることは,家族関係の変化に伴う子の精神的負担を軽減し,子の利益にかなうと考えられ,第5で見たように,諸外国においても,この理念が制度及びその運用の両面で貫かれているといえる。これを父母の養育行動の側面からいうと,父母には,父母間の紛争や感情的対立にかかわらず,子の利益を実現するため,互いに,他方の親と子の関係を尊重し,その維持に努めることが求められているといえ,子の利益の観点から父母の監護を評価するに当たっては,父母がそれぞれ他方の親と子の関係をどの程度尊重できているかについても評価すべきと考えられる。」
 

 

 

 

 

 

 

「具体的にみていくと,まず,同居親が,別居親と子の面会交流に積極的に応じるなどして,別居親と子の関係の維持に努めている場合は,同居親の姿勢は積極的な評価を受けることになろう。他方,同居親が正当な理由なく別居親と子の面会交流を拒否している場合や同居親が別居親についての悪印象を殊更植え付けるなどしている場合,反対に別居親が面会交流等の機会に同居親の悪口を言うなどしている場合には,その姿勢は消極的な評価を受けることになると考えられる。」
 

 

 

 

 

 

 

「次に,別居など単独監護の開始の経緯に関し,一方の親が他方の親に対して何ら説明なく無断で子を連れ出すなどして子の単独監護を開始した場合は,たとえそれが平穏な態様で行われても,子と他方の親を物理的かつ精神的に引き離す行為をしたとして,他方の親と子の関係に対する姿勢に関して,消極的な評価を受けることになると考えられる。」
 

 

 

 

 

 

さらに,司法研修所編『子の監護・引渡しをめぐる紛争の審理及び判断に関する研究』の75頁の「ウ 子と別居親との関わりの断絶・減少」には,以下の記載がされています。
 

 

 

 

 

 

「別居により他方の親との関わりが減少することは,通常,父母双方との情緒的つながりを維持するという子の利益を損なうと考えられる。特に別居親が子との間でより安定した愛着関係を形成している場合や,父母双方が同程度に子との間で安定した愛着関係を形成している場合には,別居後の面会交流が断絶すると,子の利益に反する程度が大きくなり,保全の必要性を肯定する方向に働く事情となる。」
 

 

 

 

 

 

また,司法研修所編『子の監護・引渡しをめぐる紛争の審理及び判断に関する研究』の81頁には,以下の記載がされています。
 

 

 

 

 

 

「②単独監護開始の際に,子の利益を侵害する不適切な行為がされた場合には,四つのポイント(着眼点)のうち、監護態勢(特に子の利益に適切に配慮する姿勢)及び同居親の他方の親(別居親)と子との関係に対する姿勢に問題があり,そのような行動をとる同居親は子の利益に適切に配慮することを期待し難いことから,多くの場合同居親による監護が子の利益に反する状況にあるといえる。相対的に別居親の監護下に置くことが子の利益にかなうとともに,そのような子の利益に反する状況を速やかに解消すべきものとして,本案認容の蓋然性と保全の必要性が同時に肯定され得る。」