私が担当させていただいている,戸籍法上の夫婦別姓を目指した新しい夫婦別姓訴訟(東京地裁)での,第2回期日が先週開かれました。

 

 

 

期日では,被告の国側から主張書面が提出・陳述されました。そして,次回第3回期日(平成30年8月22日(水)午前11時806号法廷)までに,原告側の再反論を記載した主張書面を提出する予定となりました。

 

 

 

現在は,その原告側の再反論を記載した主張書面を作成・準備しているところです。多くの方が期待していただいている訴訟ですので,ぜひ良い結果を導けるように,精一杯の準備をしたいと思っています。

 

 

 

この新しい夫婦別姓訴訟(東京地裁)は,上でもお話したように,戸籍法上の夫婦別姓を目指すものですので,別の訴訟として提起されている,民法上の夫婦別姓を目指す訴訟とは,違った存在として認識されています。

 

 

 

ただ,民法と戸籍法は,いわばコインの表裏の関係にあります。民法の氏の不都合を解消するために,戸籍法は戸籍法上の氏(呼称上の氏)の規定を設けているのです。

 

 

 

それに対して,婚姻と離婚の4つの場面の内,日本人同士の婚姻についてだけ,戸籍法は旧姓を戸籍法上の氏(呼称上の氏)として称する規定を設けていないのです。その「法の欠缺」が憲法に違反している,という主張を行っているのが,この「新しい夫婦別姓訴訟」になります。

 

 

 

すると,仮にこの「新しい夫婦別姓訴訟」で違憲判決が出て,戸籍法上の氏(呼称上の氏)を日本人同士の婚姻で氏を変えた方も称することができるようになれば,当然それは,コインの表裏の関係にある,民法上の夫婦別姓の方にも,影響を与えると,私は考えています。

 

 

 

 

例えば,現在日本人同士の婚姻の場合には,95%以上の夫婦が男性(夫)の氏を民法750条における夫婦の氏として選び,女性(妻)は氏を変更しています(厚生労働省人口動態統計では,平成28年の統計で95.95%の夫婦が男性(夫)の氏を選び,女性(妻)は氏を変更しています。)。

 

 

 

 

その選択の数字の上での不均衡を,民法上の夫婦別姓訴訟では,「男女不平等だ」と主張されているのです。逆を申すと,そこで主張されている「男女不平等だ」という対象は,夫婦の氏の選択の割合が,50%に近づくことを「平等」と捉えた主張だと言うことができると思います。

 

 

 

では,仮に,戸籍法上日本人同士の婚姻に際して氏を変えた者が,旧姓を戸籍法上の氏(呼称上の氏)として称する制度が設けられたならばどうなるでしょうか。

 

 

 

まず第一に,日本人同士の婚姻に際して,男性(夫)の氏を民法750条における夫婦の氏としたとしても,氏を変えた女性(妻)は,戸籍法上の氏(呼称上の氏)を戸籍法上称することで,旧姓を戸籍法上使用し続けることが可能となります。そのことが,現在の日本人同士の婚姻の場合に95%以上の夫婦が男性(夫)の氏を民法750条における夫婦の氏として選び,女性(妻)は氏を変更しているという男女の不均衡を是正する手段となるのです。

 

 

 

 

さらに第二に,日本人同士の婚姻に際して,女性(妻)の氏を民法750条における夫婦の氏とした上で,男性(夫)が旧姓を戸籍法上の氏(呼称上の氏)として称することが可能となります。その結果,現在の日本人同士の婚姻の場合に95%以上の夫婦が男性(夫)の氏を民法750条における夫婦の氏として選び,女性(妻)は氏を変更しているという男女の不均衡自体が,解消の方向に向かうことが期待できるのです。

 

 

 

このように,戸籍法上の夫婦別姓訴訟は,実は民法上の夫婦別姓訴訟の主張と,結びつく効果を生み出す,と私は考えています。その意味で,やはり民法と戸籍法とは,コインの表裏の関係にあるのです。さらに申すと,本当に戸籍法上の夫婦別姓が実現された場合には,現実に夫婦別姓のご夫婦が当然のように社会で生活をされるわけですから,社会そのものが,「夫婦別姓」を当然のものと受け入れることだと思います。

 

 

 

 

その結果,人々が当然のものと受け入れた「夫婦別姓」について,民法上の夫婦別姓を実現することも,容易になるはずだと思います。その意味では,戸籍法上の夫婦別姓訴訟の成功は,実は民法上の夫婦別姓訴訟にも影響を与えることではないか,と思うのです。多くの方が期待してくださっている理由もそこにあるのではないでしょうか。多くのご期待に応えられるように,良い主張書面を作成し,良い結果を導きたいと考えています。