テレビドラマ「家政婦は見た!」の主演や,「まんが日本昔ばなし」の語りなどで,幅広いファンから愛されたのが,市原悦子さんでした。1月12日に心不全で亡くなられました。82歳でした。

 

 

 

私も子供の時に,「まんが日本昔ばなし」を夢中になって見た世代です。柔らかい語り口調の中において,子供心に「何か,とても大切なこと」が残る時間を,いつも大切に感じていました。

 

 

 

「昔ばなし」と言えば,東北の遠野を思い出します。柳田國男が明治43年(1910年)に発表した『遠野物語』には,遠野地方に伝わる「昔話」が,とても魅力的に語られています。

 

 

 

私も遠野に参ったことがあります。そこでお話を伺った語り部の女性の方がおっしゃったのは,「昔話は,おじいさんとおばあさん,お父さんとお母さんが,子供達に伝えたい,人生のエッセンスが込められているのです」というお話でした。

 

 

 

「お友達を大切にしなさい」「兄弟は仲良くしなさい」「嘘をついたら,大変な目にあいますよ」等々です。その語り部の方のお話を聞いて,市原悦子さんの「まんが日本昔ばなし」を拝見すると,とても大切な「何か」が心の中に残るように感じた理由が分かった気がしたことを,覚えています。

 

 

 

さらに,それはきっと,市原悦子さんの優しい,思いやりに満ちた声だったからこそのことだったように思います。「昔話」が心に残るのも,そして世代を超えて語り継がれるのも,物語に優しさが込められているからなのだと思うのです。

 

 

 

市原悦子さんが伝えてくださった「大切なもの」を,心の中で,今後も大切に守っていきたいと思います。ご冥福をお祈りいたします。