令和6年5月3日の憲法記念日を前に,最高裁判所の戸倉三郎長官が記者会見を行い,現在参議院で審議が行われている「離婚後共同親権」の民法改正についてコメントをされました。

 

 

 

 

 

 

毎日新聞令和6年5月3日配信の記事/離婚後の共同親権についての最高裁判所長官のコメント

 

 

 

 

 

 

(毎日新聞の記事の一部を引用させていただきます)

 

 

 

 

 

 

「最高裁の戸倉三郎長官は5月3日の憲法記念日を前に記者会見し、今国会で審議されている離婚後の共同親権導入を柱とする民法改正案で、家裁による親権者の判断が規定されていることについて、「表面的なことだけでなく、背後にあることをどこまで見られるかは、かなり難しい課題だ」と述べた。

 

 

 

 

 

 

改正案では、父母が離婚時に共同親権か単独親権かを協議し、折り合わなければ家裁が親権者を決めるとしている。戸倉長官は「国民の期待は非常に重くなるので、裁判官も知見を深めていくことは不可欠。研修などを充実させ、的確に対応できる体制をつくっていく」と話した。」

 

 

 

 

 

 

最高裁判所長官が,記者会見で,「国民の期待は非常に重くなるので、裁判官も知見を深めていくことは不可欠。研修などを充実させ、的確に対応できる体制をつくっていく」と話されたことを,私はとても嬉しく感じました。

 

 

 

 

 

 

最近は,私が調停手続に参加していると,逆に調停委員の方から「離婚後共同親権」の法改正後の運用について質問をいただくことも増えています。

 

 

 

 

 

 

ある調停員の方から,おそらくはその方の外国での留学か研修のご経験のお話だと思いますが,ある国では離婚された両親のそれぞれの自宅に,「子ども部屋」が用意されていた,というお話を伺ったことがあります。

 

 

 

 

 

 

最近読んだ面会交流の論文にも,外国では,週末は子どもが両親のそれぞれの自宅に隔週ごとに2泊3日過ごすことが通常と書かれてありました。外国の方が日本の運用を知り驚かれることには理由があると思います。

 

 

 

 

 

 

近時の医学や心理学の研究により,子ども達が両親と同じように直接触れ合うことで,子ども達の脳には「オキシトシン」と呼ばれる「愛情ホルモン」が分泌されること,その結果子ども達は,自己肯定感が高くなり,他者とのコミュニケーション能力も高くなることが分かってきています。

 

 

 

 

 

 

そのような科学的事実の発見の歴史に対応するように,世界中で,離婚後単独親権制度から離婚後共同親権制度への法改正が行われてきたのです。それは「子ども達の健全な成長」の観点から,当然の法改正の動きだと思います。

 

 

 

 

 

 

日本でも,5月には「離婚後共同親権」の民法改正が成立すると言われています。ようやく日本も,「国際人権」の世界的水準に追いつくことになります。ただ,大切なことは法改正だけでなく,その後の運用です。法律の運用と,その後の子ども達の成長が「国際的な水準」に達するように,最高裁判所長官のお話のとおり,私達法律家は今後も努力を続ける必要があると思います。