現在国会・衆議院では,「離婚後共同親権」法改正案についての審議が続いております。私も注目して拝見していますが,法務省による法改正案の解説には,現在の裁判所での運用と180度変わるのではないかと思われる内容が多々含まれています。例えば以下の点です。

 

 

 

 

 

 

 

①「裁判所が定めた親子交流(面会交流)が履行されないときは努力義務違反となり,親権変更,停止などの手続きの考慮事項になりうる。」

 

 

 

 

 

 

 

この答弁は,日本の法律制度上認められてこなかったいわゆる「フレンドリー・ペアレント・ルール」を設けるという内容になります。日本では面会交流不履行について,それを行った側が何ら不利益を受けないという点で,強制力がない問題がありました。その点が改善されることが期待されています。その結果,お子さんと別居親の面会が容易になりますので,まさに「子の利益」が実現されることになります。

 

 

 

 

 

 

 

②「親権者変更の判断においては親権者変更を求める当該父母が養育費の支払いのような子の養育に関する責任をこれまで十分に果たしてきたかも重要な考慮要素の一つであると考えられます。」

 

 

 

 

 

 

 

既に離婚が成立して,非親権者となっている方も,法改正後は「親権者変更手続」を申し立てることで,「離婚後共同親権」に復権できる内容が改正案に含まれているのですが,この答弁では,「別居親が養育費を払っていることが,離婚後共同親権に復権できることの考慮要素となる」とされています。

 

 

 

 

 

 

 

現在の裁判所の運用では,①面会を拒否されているのに,なぜ養育費を払わないといけないのか,という点について,面会と養育費は別の制度だから,面会ができていなくても,養育費は払わないといけない,と説明がされていました。それなのに,②なぜか面会を求める際には,養育費を払っていますか,とそれがまるで条件のように問われたりしました。

 

 

 

 

 

 

それが法改正後には,養育費を払っていることと,離婚後共同親権に復活することがリンクされる運用になることが期待されます。養育費を払うことも,離婚後共同親権になること(子に対して親責任を負う親が2人になること)も,いずれも「子の利益」となることは明らかです。

 

 

 

 

 

 

そのような観点からすると,現在衆議院で審議されている「離婚後共同親権」法改正案については,いろいろと意見が交わされていますが,私自身の感想を申しますと,現在裁判所で行われている運用が180度変わる可能性を感じています。それはまさに「チルドレン・ファースト」に基づく理念が実現することを意味しています。「離婚後共同親権」法改正が1日も早く実現することを,心から期待して待ちたいと思います。