令和6年3月8日に政府の閣議決定と国会への法改正案提出がされた「離婚後共同親権」改正案ですが,その内容には,すでに離婚して親権を失った親も「親権者変更申立」を行うことで,「離婚後共同親権」にすることができる内容が含まれています。
朝日新聞デジタル令和6年3月8日付記事/すでに離婚した夫婦も「共同親権」を選択可に 民法改正案を国会提出
「(朝日新聞デジタルの記事を一部引用させていただきます)
すでに離婚した夫婦も「共同親権」を選択可に 民法改正案を国会提出
離婚後にも父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案が8日、国会に提出された。法施行前に離婚した夫婦も、共同親権を選べるようにする。成立すれば公布から2年以内に施行され、単独親権に限ってきた現行制度から転換される。
法施行前に離婚が成立していても、裁判所に親権変更の申し立てをして認められれば、単独親権から共同親権に変更できるようにする。」
現在の離婚後単独親権制度の下では,離婚後に子の単独親権者となることを希望する親により,①子の連れ去りと,②子と別居親の面会拒否や制限が当然のように行われています。私は,現在の離婚後単独親権制度の最大の被害者は,子ども達だと思っています。
両親の離婚とは,子ども達からすると,自らの意志や努力では動かすことができない事柄です。それにも拘わらず,現在の法律制度により,両親の間に子の親権を巡り大きな葛藤が生み出され,子はそれまでの慣れ親しんだ環境から突然引き離され,また別居親とはそれまでのように会うことができなくなるのです。
子ども達が両親と同じように直接触れ合う機会が多ければ多いほど,子ども達の脳にはオキシトシンと呼ばれる愛情ホルモンが分泌されます。オキシトシンの分泌が多い子ほど,自己肯定感が高く,他者とのコミュニケーション能力も高いことが分かっています。その点で,現在の離婚後単独親権制度は,子ども達の脳からオキシトシンが分泌される機会をどんどん少なくしているのです。
そのような中で,いよいよ離婚後共同親権の法改正案が3月8日に国会に提出されました。そしてその法改正案には,冒頭でご紹介したとおり,既に離婚して子の親権を失った方も,親権者変更手続を申し立てることにより,離婚後共同親権に復する内容が含まれているのです。
子ども達からすると,両親の離婚は自らの意志や努力では動かすことができない事柄です。そのような子ども達に対し,法律の制定の前後で,自らに養育責任(親責任)を負う親が1人になるのか,それとも2人になるのかについて,不利益を与えてはいけないことは明白だと思います。
そのような点から,私は離婚後共同親権改正法に離婚後共同親権に復する手続が設けられたことは,子ども達のためにも,賛成の立場なのです。いよいよカウントダウンになりました。「チルドレンファースト」の新しい法制度が創造される瞬間は,もうすぐそこまで来ています。期待して待ちたいと思います。