以前にもこのブログでご紹介した「自然的親子権訴訟」の控訴審判決が,令和6年2月22日に東京高裁で言い渡されました。

 

 

 

 

 

 

東京高裁は,以下で引用する内容を判示して,「親が子を養育監護することは,子にとっても,親にとっても,憲法13条で保障されている」ことを明確に認めました。東京高裁判決が持つ影響力からすると,この判決内容は,全国の裁判実務に大きな影響を与える画期的な内容だと思います。

 

 

 

 

 

 

また,この東京高裁判決で引用されている大阪地裁令和6年7月31日判決(さらにその控訴審である大阪高裁令和6年2月7日判決)も,やはり「親が子を養育監護することが憲法で保障されていること」を認めています。

 

 

 

 

 

 

 

私が担当させていただいた「離婚後単独親権制度違憲訴訟」における東京高裁令和3年10月28日判決では,「親が子を養育監護することは,親にとっても,子にとっても,人格的な利益である」と判示された内容が,どんどんと憲法が直接保障されている基本的人権として認められていることを感じ,とても嬉しく思っています。

 

 

 

 

 

 

元々基本的人権とは,人が人として生まれたことで当然に有する権利です。それは,国が与えて初めて保障されたものではなく,憲法が与えて初めて保障されたものでもありません。憲法は,人が自然に有している権利を,認めているにすぎないのです。

 

 

 

 

 

 

 

そして,親が生まれてきた子を監護養育すること,親と子との直接の触れ合いの中で,親も,子も,互いに人格的に成長していくことは,人が人である以上当然のことであり,国や憲法の存在以前から有している権利であることは明らかです。

 

 

 

 

 

 

そのような観点から,以下で引用させていただく自然的親子権訴訟の東京高裁令和6年2月22日判決の判示内容は,とても画期的であり,離婚訴訟,監護者指定,面会交流などさまざまな分野において,今後の裁判実務をリードするものだと大きな期待をしております。

 

 

 

 

 

 

「自然的親子権訴訟 東京高裁令和6年2月22日判決

 

 

 

 

 

 

 

このように考えると,子が親から養育監護を受け,親と関わることは,子の生存や人格の形成,発達及び成長並びに自立に不可欠であるから,そのうち,それを国から妨げられない自由権は人格権の一種として,憲法13条によって保障されており,かつ,それが私人間の関係で保護される利益も,憲法13条によって尊重されるべき利益であると解される。

 

 

 

 

 

 

さらには,親が子を養育監護し,子と関わることを妨げられないこと(親の子を養育監護等する自由)も,親自身の自己実現及び人格発展に関わる重大なものであるから,人格的な権利利益として,憲法13条によって保護されていると解すべきである(大阪地方裁判所令和3年(ワ)第11934号令和5年7月31日判決参照)。」