令和6年3月に,法務省の閣法として,「離婚後共同親権」への法改正案が,通常国会に提出されることが決まりました。新しい「チルドレン・ファースト」の法制度の創造まで,いよいよカウントダウンです。

 

 

 

 

 

 

 

そのような中,弁護士の方が,ネット上で「待望の共同親権!共同親権の導入により救われる人たち」のタイトルのコラムを書かれているのを,拝見しました。

 

 

 

 

 

 

 

リコネット/待望の共同親権!共同親権の導入により救われる人たち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コラムを書かれた弁護士の方は,「離婚後共同親権」の法改正により,以下の点が改善されることが期待できると述べられています。

 

 

 

 

 

 

 

①連れ去りの防止

②充実した面会交流の実施

③離婚紛争の長期化の防止

④養育費の支払いへの期待

 

 

 

 

 

 

 

この中で,「③離婚紛争の長期化の防止」と書かれている点は,私もそのとおりだと考えています。といいますと,まず離婚訴訟が提起されるまでに至っていると,夫婦関係を修復することはなかなか難しく,当事者も「離婚はやむをえない」と考えているからなのです。そして,それでも現在の離婚訴訟が長期化する傾向にあるのは,子の親権者が争われるからなのです。

 

 

 

 

 

 

 

それに対して「離婚後共同親権」の法改正が実現されれば,離婚をしても子の親権は共同ですから,離婚訴訟で争う大きな理由が消失するわけです。これが第一の理由で私は,「離婚後共同親権」の法改正後は,離婚訴訟が激減すると考えています。

 

 

 

 

 

 

 

もう1つの理由は,「リスクを避ける」という点で,「離婚後共同親権」法改正後には,離婚訴訟が激減すると私は考えています。といいますと,現在の「離婚後単独親権」制度の下では,協議離婚をしても,裁判離婚をしても,親権は単独であり,離婚訴訟では実際に子を監護養育している親が単独親権者に指定されることが大部分であることから,子の親権者になることを希望する親は,子の監護時間で優位に立つ状態で離婚訴訟に持ち込めば,離婚後の単独親権者になれる,と考えるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

それに対して,「離婚後共同親権」の法改正後は,協議離婚ですと離婚後共同親権の合意がされるであろうことに対して,離婚訴訟に持ち込んでも,原則として離婚後共同親権であることに変わらず,さらに言えば、例外的に単独親権となるかどうかは分からず,そして,例外的に単独親権となった場合に,自分が単独親権者となれる保証はないのですから,そのようなリスクを払ってまで,離婚後単独親権を獲得しようとは通常は思わないはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ましてやお金の問題ではなく,子どもについての問題なのです。明白な相手配偶者からの虐待や暴力があった場合を除けば,リスクを払ってまで離婚訴訟に進むのではなく,安全に協議離婚で「離婚後共同親権」を獲得しようとするのが人の心理ではないかと私は思います。

 

 

 

 

 

 

 

現在の「離婚後単独親権制度」の下では,裁判離婚は2%とされていますが,その割合が「離婚後共同親権制度」では激減するというのが,私の想像なのです。でもそれは,現在の「離婚後単独親権制度」の下において,子どもの親権者を争って,両親が長期間相手を否定する内容の主張書面を出し続け,子どもの養育についての協力関係を構築することが妨げられている現状から,離婚が早期に解決し,子どもの養育についての協力関係を構築していきやすくなるという「チルドレン・ファースト」の観点から望ましいことだと,私は考えています。