法務省の法制審議会家族法制部会(部会長=大村敦志・学習院大法科大学院教授)は令和6年1月30日に,民法改正の要綱案を決定しました。法務省は3月に改正法案を国会に提出する方針に決めました。

 

 

 

 

 

 

 

国会への提出が予想より早いな,と私は感じました。それはおそらく,国としてこの問題を早く解決しようとしているのではないかと思いました。この予定ですと,改正法の施行時期も早いのではないかと思います。いよいよカウントダウンですね。法改正を熱望されていた方々が笑顔になられている姿が頭に浮かびます。

 

 

 

 

 

 

 

ヤフーニュース掲載の記事より/共同親権導入へ民法改正の要綱案決定 法制審部会「福祉の充実を」

 

 

 

 

 

 

 

この「離婚後共同親権」の法改正に際しては,私として,ぜひ「フレンドリー・ペアレント・ルール」の条項を設けていただきたいと考えています。1月31日付朝日新聞の記事では,「要綱案には,親権の有無に関わらず,父母が子の利益のため,互いに人格を尊重し,協力することが明記された。相手を理由なく排除するような行動があれば,親権者として不適格な事情として考慮されることになる。」と記載されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

離婚後共同親権への改正だけでなく,「フレンドリー・ペアレント・ルール」が設けられることにより,①子の連れ去りがなくなり(子を他方配偶者の同意なく連れ去ることは,他方配偶物の人格を尊重しておらず,他方配偶者を子の養育から理由なく排除する行動として親権者として不適格な事情とされるからです),

 

 

 

 

 

 

 

 

②両方の親と子とが自由に面会交流を行うことができるようになります(子の同居親が子と別居親との面会交流を制限したり拒否したりすることは,他方配偶物の人格を尊重しておらず,他方配偶者を子の養育から理由なく排除する行動として親権者として不適格な事情とされるからです)。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに私としては,既に離婚により子の親権を失った方々の親権復活手続をぜひ設けていただきたいと願っています。要綱案では,既に離婚により子の親権を失った方は,親権者変更手続を申し立てることで,離婚後共同親権として子の親権者としての地位に戻る内容となっているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

法改正後だけ,離婚後共同親権となるのではなく,法改正前も,離婚後共同親権でなければならないことは明らかだと思います。離婚により子の親権を失った方にとって,法改正の前であったことは,自らの意志や能力では動かすことができない事柄です。それは法の下の平等の要請です。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに言えば,子の立場からしても,両親の離婚が法改正の前であったという理由で,自らに親権者という「親責任(親の養育責任)」を負う親が1人に減されてしまうことは,やはり子の立場からすると,自らの意志や能力では動かすことができない事柄による差別だと思います。それも法の下の平等の要請であることは明らかだと思います。

 

 

 

 

 

 

1896年に制定された法律が変わる日が到来し,新しい法制度が創造される瞬間をこの目で見たいと思います。それは,「家のための親子法」から,「親のための親子法」となり,「子のための親子法」が実現するプロセスの実現です。その日が1日も早く訪れることを心から期待しています。