私が担当させていただいた子の連れ去り違憲訴訟の東京地裁令和5年1月25日判決について,産経新聞で記事として取り上げていただきましたので,ご紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

 

産経新聞掲載の記事/一方的な子供の「連れ去り」 裁判所が初認定「法の不備」が問うもの

 

 

 

 

 

 

 

記事でも引用していただいていますが,東京地裁令和5年1月25日判決は,被告(国)の主張を排斥して,「したがって,原告らが主張する刑事法,民事法及び親権の行使に係る手続規定が現に存在するとはいえず,本件立法不作為が認められるというべきである。」と判示した上で,

 

 

 

 

 

「以上の事情によれば,日本の家族法制度については,国内でその在り方が議論されているにとどまらず,国際的にみても,条約の規定との整合性という観点等から問題視する立場があり,憲法98条2項が定める条約遵守義務に照らしても,他方親の同意なき子の連れ去りを違法とする規定,その他原告らが主張する法規制の制定は,今後の国内法の在り方の一つの選択肢として,議論されるべきものということができる。」と判示しました。

 

 

 

 

 

この東京地裁令和5年1月25日判決の特徴は,国会に対して,国際人権条約に適合するような立法を行うことを,検討するべきではないか,と問題提起したことにあります。さらにいえば,東京地裁令和5年1月25日判決「原告らが主張する法規制の制定」も国会で検討するべきではないか,とされている点は,原告らが主張した「親子審判」について,やはり国会で立法を検討するべきではないか,と裁判所が問題提起してくださったことを意味しています。とても光栄に感じています。

 

 

 

 

 

 

訴訟は控訴がされる予定です。東京地裁令和5年1月25日判決よりもさらに一歩踏み出した控訴審での判決を得て,国会で「子の連れ去り」が行われないための新しい法制度が創造されることが,私達の目標になります。
 

 

 

 

 

 

 

(産経新聞の記事から一部を引用させていただきます)

 

 

 

 

 

 

 

「訴訟で主な争点となったのは、三輪さんのケースのように、一方の親が子供を無断で連れ去ることを防ぐ法規制はあるか▽法規制がない場合、憲法が保障する基本的人権の不当な制約に当たるか-などだ。

 

 

 

 

被告である国側は、子供を連れ去ったのであれば、親であっても刑法の誘拐罪などが適用されると主張。現行の民法に連れ去りを違法と明示した規定はないが、不法行為と評価することは可能だと反論した。

 

 

 

 

その上で、連れ去りの背景にはさまざまな事情があり、DVから逃れる有効な手段でもあるとして「連れ去りを防ぐ規定を制定するのは相当でない」とした。

これに対し、東京地裁判決は、脅迫や噓を用いることを要件とする誘拐罪は、連れ去り行為の一部にしか適用できないと指摘。民事訴訟でも違法と評価する運用は定着していないとし、「立法不作為が認められる」と認定した。

 

 

 

 

今回の地裁判決は、日本が国連や欧州連合などから複数回にわたり、子供の連れ去りに関する国際条約と国内法を整合させるよう勧告を受けていることにも言及。法整備の是非を巡る議論が必要との認識も示している。

 

 

 

 

法相の諮問機関である法制審議会の部会では現在、離婚後も双方の親に親権を認める共同親権の是非など離婚後の子育てのルールを見直す議論が進められている。連れ去りの法規定については議題にないものの、別居する子供との面会交流のあり方など、こうした問題に直結する改善策が話し合われている。

 

 

 

 

原告側代理人の作花知志弁護士は「法制審の議論にも大きな影響を与える判決だ」としている。」