私が担当させていただいている子の連れ去り違憲訴訟/東京地裁は,令和5年1月25日に判決が言い渡されました。判決については,多くの報道をしていただいています。

 

 

 

 

 

 

 

正式な判決文は,まだ事務所に送達がされていないのですが,今回の東京地裁判決には,以下の判示がされています(NHKの報道を引用させていただきます)。

 

 

 

 

 

 

 

(NHKの報道です)

「判決は家族に関する法制度について,『日本が批准する条約と整合させるよう国際機関から勧告を受けるなどしていて,国際的にみても問題視する立場がある。原告たちが主張する法律の制定は,今後,1つの選択肢として議論されるべきだ』と言及しました。」

 

 

 

 

 

 

 

NHK配信の記事/“配偶者の子ども連れ去り” 法整備求める訴え棄却 東京地裁

 

 

 

 

 

 

ツイッター上でご紹介いただいている記事も引用させていただきます。

 

 

 

 

 

 

(ツイッターの引用です)

ツイッター記事/東京地方裁判所は「法律の制定は今後、議論されるべきだが… >判決は「…原告たちが主張する法律の制定は、今後1つの選択肢として議論されるべきだ」と言及

 

 

 

 

 

 

 

この判決で引用されている「原告たちが主張する法律」とは,原告側主張書面で主張した「親子審判」のことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

現在は,最初の親による子の連れ去りは何ら違法ではないとされる一方で,別親が子を連れ戻すことは刑事法上も違法であり逮捕される事態となります。さらには,現在の法律上子を連れ去った親が別親と子との面会交流を拒否しても,それを法律上の手続で実現することは,とても難しいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのような事態は家族と親子の分断を生むものであり,法律制度の創造により問題を解決するべきだとして,訴訟で原告側から,「親子審判」の創造を提言しています。別居を考えている親は,裁判所に申し立てをして,裁判所は原則3回以内の短期間に,いずれの親が子の当面の監護者となるのかを決めた上で,非監護者の親と子との自由な面会交流を認める,という制度です。

 

 

 

 

 

 

 

訴訟では,現行法上「子の連れ去り問題」が放任されているのは,国会の立法不作為により片親と子の基本的人権や人格的な利益を侵害することであり,「親子審判」のような法制度の創造が可能である,と主張したのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

その原告側の主張に対して,東京地裁判決は,「日本が批准する条約と整合させるよう国際機関から勧告を受けるなどしていて、国際的にみても問題視する立場がある。原告たちが主張する法律の制定は、今後、1つの選択肢として議論されるべきだ」と言及したことになります。憲法訴訟で原告側から具体的な新しい法制度の創造が主張されて,その法制度について裁判所が,「1つの選択肢として議論されるべきだ」と判示したことは,私が知る限り,これまでの歴史上なかったのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

訴訟は控訴がされる予定です。控訴審では,より良い内容の判決を期待したいと思います。そして何よりも,国会が現在の問題を解決する新しい法制度を創造して,「連れ去り」により家族と親子が分断されている現在の社会問題が解決されることこそが,原告の方々の最終的なゴールとなります。