離婚後の子どもの養育についての法制度の見直しに向けて,法制審議会家族法部会が,父と母双方を親権者とする「共同親権」を導入する案と,一方のみの「単独親権」を維持する案を併記する中間試案をまとめたことを受けて,法務省は12月6日から,国民に広く意見を募るパブリックコメントを始めます。

 

 

 

 

 

 

 

NHK/離婚後の子どもの養育制度見直し6日からパブリックコメント

 

 

 

 

 

 

 

 

これは,とても歴史的なことです。そもそも,民法の法改正について,パブリックコメントが行われること自体が異例のことです。それは,①子どもの福祉や健全な成長に与える影響が非常に大きい問題であるためである,という理由とともに,

 

 

 

 

 

 

②現在の民法が規定する離婚後単独親権制度が,離婚後に子の親権者となることを希望する者による「子の連れ去り」と「別居親と子との面会拒否」を生んでおり,それが「家族の分断」と「親子関係の分断」を生んでいること,それが重大な人権侵害や人格的な利益の侵害であることが指摘されている,という理由もあると思います。

 

 

 

 

 

 

多くの家族事件を担当させていただいている弁護士の立場から希望したいのは,今回パブリックコメントが行われることで,「離婚後単独親権制度」が生み出している問題点について,多くの国民の皆さんが認識していただいて,それがどのような悲劇を生んでいるかについても,認識していただきたいということです。上で申したとおり,私は,それもパブリックコメントが行われる理由の1つであると考えています。

 

 

 

 

 

 

現在の民法が規定している「離婚後単独親権制度」は,いわば数世代前の国会において,当時の社会の多数意見の発現として決められた制度です。

 

 

 

 

 

 

私の個人的な意見を述べさせていただくと,子どもの両親の内,いずれが子どもの親権者にふさわしいのか,適格なのか,という評価は,決して「多数決」で決めることはできないことだ,ということです。子どもの福祉や健全な成長のためには,両親ともに必要不可欠であることは,言うまでもないことだと思います。それは,「多数決」では,決して決めることができないこと,決して奪うことができないことだと思います。

 

 

 

 

 

 

両親の離婚は,子どもにとって自らの意志や努力では動かすことができない事柄です。それにも拘わらず,両親の離婚により法律で親の一方のみを親権者に指定してしまうことは,親が子に対して離婚後も「親責任」を負う観点からすると,子の福祉に反し,子の健全な成長に反することだと思います。そのような観点からすると,新しい法制度では,「親権」という言葉そのものを,「親責任」という言葉へと変化させていただきたいと願っています。

 

 

 

 

 

 

 

新しい時代の,「チルドレン・ファースト」の理念が発現された,新しい法制度が創造されることを期待して,私もパブリックコメントに臨みたいと考えています。