多くの方に応援をしていただきました「離婚後単独親権制度違憲訴訟」ですが,令和4年9月28日付で,最高裁が「上告棄却」の判断が行われました。

 

 

 

 

 

 

作花共同親権訴訟HP

 

 

 

 

 

 

原告側は,現在の離婚後単独親権制度は親権を失う親を生み,さらには親権争いを通して子の連れ去りと面会拒否を生み出している点において,子の福祉を害しているではないか,との主張を行いました。その原告側の主張についての,最高裁の具体的な判断を出してほしい,という思いで始まった訴訟でしたが,最高裁は上告棄却の判断をしただけで,制度についての具体的な判断を出すことはありませんでした。

 

 

 

 

 

 

ただ,離婚後単独親権制度違憲訴訟では,東京高裁令和3年10月28日判決で,この記事の最後に引用させていただく判示が出されています。この判示の内容は判例法として残ることになります。

 

 

 

 

 

 

また,離婚後単独親権制度違憲訴訟提訴後,いろいろな方による「離婚後単独親権制度」への疑問を掲げる憲法訴訟が提起されています。私自身が担当させていただいている「子の連れ去り違憲訴訟」や「自由面会交流権訴訟」も提起されています。全ての訴訟が,「制度が子を不幸にしているのではないか」との問題提起を行っている点で共通していると,私は考えています。

 

 

 

 

 

さらに,離婚後単独親権制度違憲訴訟提起後に,法制審議会,法務省,そして自民党で「離婚後共同親権・共同養育」への法改正の検討が始まりました。離婚後単独親権制度違憲訴訟の提起により,そのような立法への動きを生み出すことができたのであれば,とても嬉しいことだと思います。

 

 

 

 

 

 

多くの方に応援していただいた訴訟でした。本当は最高裁大法廷で,最高裁としての判断を聞きたかったと思います。でも,原告の方や私の思いは,まだ続いている次の訴訟の当事者の方々が受け継いでくださることだと思います。そして,現在大きな動きとなっている「離婚後共同親権・共同養育」への動きは,もう止められないと,私は考えています。

 

 

 

 

 

 

訴訟を応援してくださった方々に,心よりお礼を申し上げます。皆さんの応援のおかげで,ここまで続けることができました。皆さんとお子様が笑顔になれる「離婚後共同親権・共同養育」の法改正が,1日も早く実現する日が来ることを,心よりお祈りしています。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

離婚後単独親権制度違憲訴訟/東京高裁平成3年10月28日判決

 

 

 

 

 

 

「親である父又は母による子の養育は,子にとってはもちろん,親にとっても,子に対する単なる養育義務の反射的な効果ではなく,独自の意義を有するものということができ,そのような意味で,子が親から養育を受け,又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有するということができる。

 

 

 

 

 

しかし,これらの人格的な利益と親権との関係についてみると,これらの人格的な利益は,離婚に伴う親権者の指定によって親権を失い,子の監護及び教育をする権利等を失うことにより,当該人格的な利益が一定の範囲で制約され得ることになり,その範囲で親権の帰属及びその行使と関連するものの,親である父と母が離婚をし,その一方が親権者とされた場合であっても,他方の親(非親権者)と子の間も親子であることに変わりがなく,当該人格的な利益は,他方の親(非親権者)にとっても,子にとっても,当然に失われるものではなく,また,失われるべきものでもない。」