ネット上のTVである「AbemaTV」の番組「Abema Prime」で,9月25日に,「離婚後共同親権」が取り上げられ,激しい議論が繰り返されました。以下のサイトで,放送から6日間は録画をご覧いただけます。

 

 

 

 

 

AbemaTV/Abema Prime/離婚後共同親権

 

 

 

 

番組を拝見して,人々が求める「親子」のイメージがとても複雑に絡まるように議論が複雑に展開している様子を拝見して,改めてこの問題の根深さを感じました。実際に離婚後単独親権制度のために子を連れ去られた方,さらには私の知人の弁護士も出演され,適確な角度から,この問題に光を当てられていたように感じます。

 

 

 

 

番組を拝見し,また内容を振り返って思うのは,この問題はやはり「基本的人権論」から議論を始めるべきだ,ということです。

 

 

 

 

仮にこの社会の99%の人が望んでも,多数決では奪うことができないものがある,多数決では決めることができないことがある。それが「基本的人権」です。私達は,まずそこから議論を始めるべきだと思います。

 

 

 

 

また,仮に離婚後共同親権制度が採用された結果,不都合が生じる可能性がある事案が存在したとしても,現在の民法では,親権者の親権喪失,親権停止,管理権停止の数段階の程度を踏まえた対策制度が設けられているのです。

 

 

 

問題が生じる案件については,その民法が既に設けている法律上の制度を柔軟に用いるべきであり,そのような「可能性があるから」と言って,親権喪失を希望していない方の親権を,一律かつ全面的に奪うことはできないはずです。それも「基本的人権」から導かれることです。基本的人権は,制限されるべき必要性があったとしても,必要以上の制限を加えてはならないのです。

 

 

 

 

そのような「基本的人権論」からすると,この「離婚後共同親権」の可否の問題は,私達が向かうべき先は明確だと思います。むしろ,離婚後共同親権を導入することを前提として,その対策となる親権喪失制度等の諸制度を,どのように柔軟に運用するべきか,という観点の議論が,もう必要になっているように思います。

 

 

 

 

さらに申すと,私達が考えないといけない「基本的人権」は,決して親権を失う親の「基本的人権」だけではありません。離婚後親権者となった者が再婚し,その再婚相手から暴力を受ける子が多い,という「児童虐待」の問題を,私達は常に考慮しなければならないはずです。それは,親権者が1人に減ることで侵害される,子ども達の「基本的人権」を,どのようにすれば守れるのか,の問題なのです。

 

 

 

 

私は,最近毎日のように報道がされている児童虐待の報道を目にする度に,早期の離婚後共同親権の導入が必要に思わざるをえないのです。離婚後親権者となった1人の親が子を守れず,また児童相談所もなかなか家に立ち入れないのなら,1人ぼっちで声も上げられない子ども達を救えるのは,離婚により親権を失った実親だけのはずです。

 

 

 

 

この問題を議論する時には,そのことを決して忘れないでいただきたいと,冒頭で御紹介した番組を拝見しながら,改めて感じました。