私が担当させていただいている,離婚後単独親権制度立法不作為違憲訴訟について,9月18日に,東京地裁で第2回期日が開かれました。

 

 

 

当日は,被告である国が提出した主張書面が陳述(主張書面の内容が確認されること)され,次回期日が12月18日(水)午後1時20分に指定されました。次回期日は,原告側が被告である国が提出した答弁書や主張書面への反論を行う予定となりました。

 

 

 

期日では,裁判長から「法律論の訴訟なので,しっかりと双方から出された主張書面を読みます」との言葉が述べられるなど,この問題についての裁判所の姿勢を感じる一幕もありました。

 

 

 

現在原告側としては,次回期日に提出する主張書面の準備を行っているところです。そのような中,現在まとめているポイントは,とても大切な事柄であるように感じています。

 

 

 

それは,離婚後に子の単独親権者となった者が死亡したり,親権喪失・親権停止になったり,管理権を失った場合についてのことなのです。実は,そのような事態が生じても,離婚に際して子の親権を失った実親の親権は回復しないのです。そのような場合,実務上は,後見が開始するとされています(民法838条)。離婚に際して子の親権を失った実親は親権者変更の申立ができると実務ではされているのですが(民法819条6項),親権者となれること(親権者としての地位が復活すること)は法律上保障されていないのです。

 

 

 

 

そのような事態が生じた場合,子について親権者がいなくなるわけですから,後見が開始されるまでの間,さらに離婚に際して子の親権を失った実親による親権者変更の申立が認められるまでの間,子は自らについて親権を行使し保護を実現してくれる者がいない状態となります。それは,子の福祉の保護の理念に反することだと思います。

 

 

 

この問題についてはよい比較の対象がありまして,それは胎児認知についてなのです。日本の民法では,父は胎児でも認知ができる(民法783条1項)のに対して,子(胎児)や母は,父に対して胎児認知を求めることができません。もちろん子が生まれた後は,子側からも父に対して認知請求ができるのですが,胎児の間はそれができないのです。

 

 

 

 

それに対してフランスの民法では,子(胎児)側から父に対して胎児認知を求めることが認められています。そのフランス民法の立法の理由は,胎児認知を認めないと,子が生まれる際,もしくは生まれてすぐの段階で母が死亡してしまったら,生まれてきた子は,父との間の父子関係もなく,親権者である母も亡くなってしまい,子について親権者となる者がいなくなるから,というものなのです。

 

 

私が担当させていただいた,女性の再婚禁止期間違憲訴訟における最高裁大法廷平成27年12月16日判決は,親子法は「子の福祉の保護」を目的としており,それは憲法上も保護に値する存在であることを認めています。

 

 

 

それにも拘わらず,子に「親権者がいなくなる状態が生まれる危険」を生じさせる民法819条2項の離婚後単独親権制度には,子の福祉の保護の観点から,「欠陥」がある不合理な規定であることを意味しているのではないか,と考えています。

 

 

 

次回提出予定の原告の主張書面には,そのような内容も含める予定です。訴訟につきましては,またこのブログでもお話をさせていただく予定です。