私が担当させていただく離婚後単独親権制度違憲立法不作為訴訟(東京地裁)のHPが立ち上がりましたので,御紹介いたします。

 

 

 

 

離婚後単独親権制度違憲立法不作為訴訟HP

 

 

 

 

本来,離婚とは夫婦関係の解消でありまして,親子関係の解消ではないわけです。それにも関わらず,現在の民法819条は,離婚に際して必ず未成年者子の親権者を,父親か母親に定めることを規定しています。それはそもそも,論理的な制度ではないのではないか,と思います。

 

 

 

 

また,未成年者子側からすると,両親と同じように接しながら成長していくことこそが求められるにも関わらず,それを未成年者子には何も関係のない,両親の離婚によって,親の一方との親権関係を断ち切られてしまうのです。それは,子の福祉の保護が目的であるはずの親子法の理念や,日本が批准している児童の権利条約の理念にも反しています。

 

 

 

 

さらに申すと,近時大きな社会問題となっている児童虐待の問題があります。児童虐待は,離婚後単独親権者となった者が,新しいパートナーができた後,そのパートナーによって引き起こされる可能性が高いことが,調査結果などで報告されています。親権を失った親は,その事態から未成年者子を救う術がないのです。

 

 

 

 

もう1つ申しますと,日本が批准しているこの連れ去りに関するハーグ条約では,例えばフランス人夫と婚姻して未成年者子をもうけた日本人妻が,夫の同意なく未成年者子を連れて日本に戻った場合,原則としてその未成年者子とともにフランスに戻らなければなりません。日本が条約の批准国であることから,日本の公務員がそのフランスに戻ることへの手続を行うわけです。

 

 

 

 

ところが,日本人同士の離婚の場面では,度々親の一方が未成年者子を連れ去り,そのままの状態で離婚手続が進み,未成年者子を連れ去った親が実際に子を養育しているという理由で親権者となる運用がされています。これは,ハーグ条約と完全に矛盾した運用だと考えます。

 

 

 

 

 

付言すると,親の一方に暴力が認められる場合のように,離婚後共同親権制度が逆に未成年者子の福祉を害する場合には,例外的に離婚後単独親権制度を選択できるようにすればいいだけでありまして,そのような問題のない親についてまで,一律に離婚によって親権を失わせることに,何等合理性や必要性は認められないはずだと思います。

 

 

 

 

それらのような問題を有する離婚後単独親権制度は,法の下の平等を定めた憲法14条1項や,家族に関する事項を個人の尊厳と両性の本質的平等に即して定めることを国会に義務付けた憲法24条2項に反している,との主張を行っているのが,冒頭で御紹介した離婚後単独親権制度違憲立法不作為訴訟(東京地裁)になります。

 

 

 

 

上で御紹介したHPでは,既に裁判所に提出している訴状を掲載しています。今後も原告側の主張書面を掲載していく予定です。それらの主張が,憲法に意味を与えて,現在の法律制度が変わることが,私達の目的となります。よろしくお願いいたします。