私が担当させていただいている,戸籍法上の夫婦別姓を目指した新しい夫婦別姓訴訟(東京地裁)は,次回期日が8月22日午前11時に予定されています。

 

 

 

その新しい夫婦別姓訴訟では,「戸籍法上の氏(呼称上の氏)」を用いた夫婦別姓,というこれまでにない新しい主張を行っています。主張の新しさのためか,これまでいわゆる法学論文では本格的に取り上げられることがなかったのですが,

 

 

 

この度,日本加除出版株式会社発行の『戸籍時報』2018年6月号(No769)の2頁以下に掲載されている,家族法がご専門の著名な二宮周平教授の論文「選択的夫婦別氏制度実現の方向性~内閣府世論調査と2つのタイプの別姓裁判(2・完)」で,訴訟の主張などを多角的に取り上げていただきました。

 

 

 

二宮先生は,私が担当させていただいた,女性の再婚禁止期間違憲訴訟の最高裁判所大法廷での弁論も,傍聴をしてくださった方です。私が新しい夫婦別姓訴訟を担当させていただいたのには,その女性の再婚禁止期間違憲訴訟からの結びつきがあるのですが,その最高裁判所大法廷での弁論を見てくださった二宮先生が,今度は新しい夫婦別姓訴訟を御論考で取り上げていただいたことに,人と人とのつながりの大切さを,改めて感じています。

 

 

 

二宮先生の御論考は,その私が担当させていただく新しい夫婦別姓訴訟だけでなく,いわゆる民法上の夫婦別姓を目指した第二次別姓訴訟についても取り上げられており,その両方の訴訟について,次のような温かいエールを送っていただいています(『同論文』10-11頁)。ご期待に応えられるような,良い判決を得られるように,精一杯の努力をしたいと考えています。

 

 

 

「戸籍上の夫婦別姓訴訟も第2次訴訟も,現行制度の問題点を鋭く突く点で共通しており,相乗効果を期待したい。私見は選択的夫婦別氏制度の法制化を支持する。

 

 

 

前号で分析した世論調査からも明らかなように,選択的夫婦別氏制度導入賛成が多数派となっている。少数者の権利を保障する法制度は,世論ではなく,法的論理・根拠に基づいて実現されるべきだが,世論の後押しは心強い。

 

 

 

1996年2月の法制審議会答申『民法の一部を改正する法律案要綱』はまだ生きている。その内容で政府は国会に上程し,国会の議論において,民法改正案要綱をさらに前進的な内容にして,民法750条を改正すべきものと考える。」