私が担当させていただく予定の新しい夫婦別姓訴訟は,岡山地裁での訴訟と東京地裁での訴訟が行われる予定なのですが,

 

 

 

この度,共同通信社の方で,東京地裁での訴訟について,取り上げていただきましたので,御紹介します(共同通信配信・四国新聞など平成29年10月26日掲載の記事より)。

 

 

 

「夫婦同姓『支障』来春にも提訴 東京の会社社長ら

 

 

 

日本人と外国人の結婚と離婚や,日本人同士の離婚では同姓か別姓を選択できるのに,日本人同士の結婚では選択の規定がない戸籍法の不備により,経済活動や日常生活の支障で精神的損害を受けたとして,東京のソフトウェア開発会社『サイボウズ』の社長ら2人が国に計220万円の損害賠償を求め,来春に東京地裁へ提訴することが10月25日,関係者への取材で分かった。

 

 

 

夫婦別姓を巡り戸籍法の在り方を問う訴訟は岡山地裁でも提訴の準備が進む。民法の夫婦同姓規定については最高裁が2015年に合憲と判断したが,岡山と東京の訴訟で代理人を務める作花知志弁護士は『外国人と結婚するケースなどと比べ不利益が明らか。結婚で改姓しても旧姓を使えるよう戸籍法を補えば足り,是正すべきだ』と指摘している。・・」

 

 

 

記事の中でも言及されていますが,夫婦同姓の問題については,2015年(平成27年)12月16日に最高裁が民法750条を合憲と判断しました。

 

 

 

それに対して私が担当させていただく予定の新しい夫婦別姓訴訟では,その「夫婦となる際には夫婦の氏を決めて,どちらかが氏を変えなければならない」という民法750条を前提として,その氏を変えた方が旧姓を婚姻後も戸籍法上の氏(呼称上の氏)として使用したいと考えた場合でも,その使用を認める規定を戸籍法が設けていない不備(法の欠缺)が憲法違反である,と主張することになります。

 

 

 

戸籍法は,①日本人同士の離婚,②日本人と外国人の結婚,③日本人と外国人の離婚のそれぞれの場合には,民法の規定を前提として,氏を自由に選択できるようにしているにもかかわらず,④日本人同士の結婚の場合だけ,結婚に伴い氏を変えた方が旧姓を戸籍法上の氏(呼称上の氏)として使用することの規定を設けていないのです。その区別には何等合理性がないと思います。

 

 

 

ちなみに,夫婦同氏を定めた民法750条が憲法違反であるとされた場合には,国会がそれを補うための立法をしないといけないのですが,その場合国会は,①夫婦の氏につき選択的別姓制度を採用するのか,それとも完全別姓制度を採用するのか,②子の氏はどのように決めるのかなど,さまざまな問題を検討しなければならず,立法が実現するまでには長い時間が必要となる可能性があります。

 

 

それに対して,私の主張である「戸籍法に不備がある」という点を国会が立法により補う場合には,例えば以下のような条文を1つ戸籍法に追加するだけで足りることになります(子供の氏は民法750条で定めた夫婦の氏になります。それは戸籍筆頭者の氏です。)。それが,最高裁平成27年12月16日判決で争われた訴訟との最大の違いということになります。

 

 

 

「婚姻により氏を変えた者で婚姻の前に称していた氏を称しようとする者は,婚姻の年月日を届出に記載して,その旨を届け出なければならない。」