アメリカでは,すでに民間の会社による宇宙旅行等の宇宙活動・宇宙ビジネスが行われていますが,いよいよ日本でも,これまで宇宙航空研究開発機構(JAXA)だけを想定してきた従来の法制度を改め,民間が参入しやすい環境を定めた「宇宙活動法案」が,国会に提出されました(四国新聞2016年3月5日付記事より)。



新しい宇宙時代の幕開けを告げる法律になりそうです。いよいよ弁護士が宇宙法の生成・発展に寄与する時代が来た,と思い,とてもわくわくしています。



私が学生の頃,国際法の講義で宇宙法について学んだ時,まだまだ宇宙分野は政府が行うことであり,民間がそこに参入するなどということは,そもそも念頭に置かれていない状態でした。



それが,おそらく今後世界中で,むしろ宇宙活動は民間を中心とした発展していく時代が来たといえると思います。とても感慨深いことです。



私が学生の頃,宇宙法についての講義を受けた際に先生が,山本草二さん(現在国連海洋法裁判所裁判官を務められている方です)が書かれた『宇宙通信の国際法』(有信堂,1966年)という本は,注を読んでいくだけで,宇宙法の歴史が分かるようになっているのだ,というお話をしてくださったことを覚えています。



そんな宇宙法の歴史に,新しい1ページが刻まれることになります。平和で国境線のない宇宙がいつまでも続くような宇宙法の発展を期待したいと思っています。



私も弁護士として,新しい宇宙法に新しい時代に即した意味を与えていければと考えています。



(四国新聞2016年3月5日掲載の記事より)



政府は3月4日,ベンチャー企業の参入を促して国内の宇宙ビジネス拡大を目指す宇宙活動法など2法案を閣議決定し,国会に提出した。



民間企業によるロケットや衛星の打ち上げ事業に許可制を導入,事故が起きた際の損害賠償の枠組みも整備する。2018年の施行を目標としている。



宇宙ベンチャーが業界をけん引する米国などがお手本。宇宙航空研究開発機構(JAXA)だけを想定してきた従来の法制度を改め,民間が参入しやすい環境をつくる。



政府は10年間で5兆円規模の産業分野に成長すると期待している。



宇宙活動法案は,民間打ち上げ事業に許可制を導入。打ち上げ失敗などで衛星やロケットが落下して被害が出た場合に備え,損害賠償保険に加入することを事業者に義務付ける。保険でカバーしきれない損害については国が一定額を補償する。



もう一つの衛星リモートセンシング法案は,商業衛星による画像データ提供に安全保障上の制限を設ける。戦車と乗用車を見分けることができる解析度2^3メートルより精細な画像などが対象。テロリストに悪用されるのを避けるため,事業者に提供先を限定させる。



衛星の小型化に加え,米スペースXなどの安価な打ち上げ事業によって,宇宙ビジネスの裾野が広がっているのが背景。国内でもベンチャー企業の参入意欲が高まっている。