9月1日(土)に,岡山市内のホテルで,士業の連携を深めることを目的としたシンポジュウムが行われました。参加した士業は,弁護士,司法書士,土地家屋調査士,行政書士,公認会計士,税理士,弁理士,不動産鑑定士,社会保険労務士,中小企業診断士の10の士業です。



高度に発展し,迅速化,国際化が進んだ現在の経済社会や,高齢化の進む日常生活において,発生する法的な問題は複雑で難解なものが多くなっております。



そんな中,依頼者の方々により良い法的サービスを行うためには,専門家である士業が互いに協力し合うことが不可欠だと思います。



そのような観点からは,今回行われた士業連携フォーラムは大変意義深いものだと思いました。






私はよく,法律家とはオーケストラにおける指揮者のような存在であることが望ましいと思っています。自分自身が全ての音を奏でるのではなく,それぞれの楽器を演奏する方が最も良い音を奏でられるように,そしてその音が重なり合い,素晴らしいハーモニーとなるように導いていくのが,法律家ではないかと思うのです。



私はよく,ご依頼をいただいた事件の解決のためには,士業の方々だけでなく,医師や大学教授などの専門家の方々に御協力を御願いするのですが,皆さんとても協力的で,情熱を持って事件に向かってくださり,とても感銘を受けるのです。






さて,その士業連携フォーラムで私は,弁護士会の代表として報告をさせていただきました。題目は「企業のリスクマネジメントと専門家責任」です。



内容は,企業のリスクへの対応と,士業の専門家責任を題材にして,適切な対応のためには士業による協力が不可欠であること,そしてその協力を通して,活字である法律により良い意味を与えていこう,というものです。



その報告で私は,士業の協力の大切さを,ある例え話を用いて説明しました。それは英語とフランス語にまつわる話です。



国際社会では,英語だけでなく,フランス語も共通語として用いられております。英語はまさに世界の共通語なのだから,英語だけで十分ではないか,と思うところですが,実はフランス語は,外交官をはじめとする国際法に関わる方にとって非常に重要な言語なのだそうです。それは,フランス語は人称と時制によって動詞が多様に変化するので,いかなる言語にも増して正確に状況を描くことができるからなのだそうです。



日常の生活でも「てにをは」を間違えたら大変ですが,外交の世界では,たとえば「を」と「は」のたった一字の相違で,広大な領地を獲得したり,失ったりすることもありえます。だから重要な外交文書は,正確を要するため,英語ではなくあえてフランス語で作成されることが多いのだそうです。



この英語とフランス語に関するエピソードは,士業の協力という観点からすると,とても興味深いものです。なぜならば,1つの契約書の文言,さらには1つの法律問題を取ってみても,ある言葉を別の士業の立場から見ると,違う問題が生じる可能性があるからです。そこに,現代の経済社会において,異なる士業が協力し,違う観点から1つの問題に関わる必要性が,より認められるところだと思うのです。






私が行った士業連携フォーラムでの報告につきましては,文書としてまとめたものをPDF化して,作花法律事務所HPのTOPICSコーナーに掲載しております。以下に作花法律事務所HPを引用しておりますので,ご関心をお持ちの方は,ご覧下さい。



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