第二十話 初めてのアラブ part 1
男は横浜の老舗ホテルのラウンジにいた。
その日横浜の輸送機器販売会社から、中近東の顧客の所に行って欲しいとの依頼があり
その打ち合わせだった。 男にとっては初めてのアラブ訪問である。 もちろんアラビア語等
ちんぷんかんぷんである。 それまで東南アジア、ヨーロッパ、アメリカなどを渡り歩いてきた
男だが、当時はアラブよりイスラエルの方が親近感があった。アラブが束になって攻めたてき
ても歯が立たなかった強国であり、先進技術国でもあり、ビジネスの相手としては申し分なかっ
たからである。 何しろ世界経済を牛耳るユダヤ人が創った国家である。