写実絵画というものが何かを問うことなど、素人の私ができるはずもありません。
ただただ驚き、感心し、感動できたことで十分満足できました。
ところがその作品を振り返りたくても館内撮影禁止。ネットから検索することに時間をとられてしまいましたが、何とか幾つかの作品を取り出すことができました。
まずは五味文彦氏の『いにしえの王は語る』パネル・油彩。
この人たちの手にかかれば古木も葉も全てが、生き生きと描かれます。
こちらは島村信之氏の『ロブスター(戦闘形態)』キャンバス・油彩。
表面のテカリと脚に塗られた青が強く印象に残りました。
塩谷亮氏の『相韻』キャンバス・油彩。
細密な描き込みは勿論のこと、大胆な構図と刺激的な色遣いは、この女性を一段と魅力的にしています。
風景画にも写実はいかんなく力を発揮します。
原雅幸氏の『マナーハウス』キャンバス・油彩。
このような小さな画面では1/100もその魅力は伝えられませんが、雪の上に残された輪立ちや右の柵奥に広がる草地と、その後ろを囲む林までもが、これでもかと描かれています。
最後は三重野慶氏の『言葉にする前のそのまま』キャンバス・油彩。
水の透明感もさることながら、彼女によって遮られた流れの揺らめき、透けるような肌。そのどれもが溜息を誘います。
運のいいことにこの作品は幾つか拾うことができましたので、写実というのが少しは実感できるかもしれません。
髪の毛やまつげの一本一本、唇のしわ、涙袋に小さくうたれたホクロ。そしてかすかに赤味を帯びた頬。
彼女の腕を乗り越えるように流れる水。
その指先を拡大しても、ごまかしは何処にも見られません。
参考にしたいとか、模写したいとかの気持ちすら起きないほど、圧倒的な迫力と説得力にただ笑うしかありませんでした。
※画像は全てネットから