中国の大気汚染が原因のPM2.5が日本にも飛来し始めたことが、大きな問題になっているようです。
PMはParticulate Matter~粒子状物質の略で、粒子の直径が2.5マイクロメートル(μm)以下の大気中を浮遊する物質です。
μmと言われてもピンと来ませんが、髪の毛の直径が太くても0.15mmと言います。mmの1000分の1であるμmは相当小さいことがわかります。
高度成長期の日本では、光化学スモッグや水俣病、イタイイタイ病等が大きな社会問題になりました。隣国日本が犯した過ちに学ぶことなく、それから50年後の中国で同様の社会問題が発生したわけです。
PM2.5は超微細な粒子なので、市販のマスクではほとんど防御不可能だそうです。
また、PM2.5が花粉に結合して傷を付けると、花粉が破裂粉砕しやすくなるため花粉症を悪化させる手助けをしてしまう。こんな物質が飛来すると言うので日本国内は戦々恐々。かなりの大騒ぎになっています。
中国都市部のニュース映像を見ると、白く煙った街の様子はまるで濃霧のようで、相当なインパクトがあります。これが大気中を浮遊する有害物質だと思うと、ちょっと怖い。
でも、へそ曲がりの私はここでふと疑問に思うわけです。
なぜ日本人はこうもPMばかりを大騒ぎするのかと…
2年前の大震災で破壊された福島第一原発。
現在においてもその放射性物質排出量は毎時1000万ベクレルと言います。ベクレルは放射能の強さの単位です。一方、放射線の強さ、つまり被曝による生物への影響力の高さを表す単位がシーベルトです。
本来比較のしようが無い二つの単位ですが、換算するための係数はあります。それをもって換算すると、1000万ベクレルはおよそ0.045シーベルトになります。
目安ではありますが、2シーベルトの放射線を浴びると、5%の人間が死亡すると言われています。5シーベルトで50%、7シーベルトで99%と、死亡率は急速に高まります。
ま、これはその人がその瞬間に全身で浴びた場合の死亡率ですが、0.045と言う数字は決して小さな数字ではありません。これほどの放射性物質が今も常時放出され続けているのが、福島第一原発の実態です。
メルトダウンした核燃料が放置されたままになり、使用済みの燃料棒が損傷したプールに置き去りにされている福島第一原発は、安全とは程遠い状態なのです。
PM2.5よりはるかに強力で、致命的な健康被害を及ぼす放射性物質が大量に放出され続けているのに、日本国民はまるでそのことを気にしていないかのようです。
なのに、PM2.5がわずかに検出され始めただけでこの騒ぎ。これはいったいなぜなんでしょう?
思うに、映像の影響が大きいのではないでしょうか。
スモッグのせいで街全体がミルクの中のような映像は、見ている者に強烈な印象を与えます。わずか2.5μmの物質がこれほど街を煙らせるとは、いったいどれほどの量が漂っているのだろうと想像させます。
しかし、福島第一原発の映像を見ても、滅茶苦茶に吹き飛んだ建物はあるものの、そこから吹き出しているモノが目に見えるわけではありません。
およそ人間というのは、目に見えるモノしか信じないと言うことの証明です。
そして、PM2.5は花粉症を悪化させるという、これまた目に見えやすい被害を及ぼすと言います。
ところが放射線に関しては、将来的に癌化するリスクを飛躍的に高めますが、それはあくまで「将来的な」という複数年に及ぶスパンの話しであって、今日明日の話しではない。
結局ここでも目に見えないモノは現実として捉えられないわけです。
ま、放射線と微粒子物質を比較して恐怖感を煽ってどうする、と言われそうですね。じゃあPM2.5を怖がるのがバカみたいというのか?と怒られちゃいそうです。
そうではありません。
PM2.5だけではなく、我々は更に恐ろしい物質にも影響を受けることを忘れないでほしいと言っているだけです。
見えていないのか、見ないようにしているかはわかりませんが、いずれにしても私達の体を蝕む事態に変わりはないのですから。