2014年度新4回生のゼミ生へ;質問紙の作成について | Tatsumi Labo in Kio Univのブログ

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2014年度新4回生のゼミ生へ;質問紙の作成について

先般開催した経過報告会をもって、大方の学生の論点が絞られ、検証モデルを念頭にすることができたように思う。この段階に至ると、質問紙調査であれ、面接調査であれ、余分な質問を省くことができ、それは調査協力者の負担軽減にも繋がる。「あれも調べたい、これも調べたい」では、調査にご協力頂く方々に大きな負担となるので、ここまで皆さんが行ってきたことには、大きな意味がある。次のステップは、質問紙の作成、面接構造の設定にある。以下は、特に質問紙調査法をイメージし、留意点を綴っておく。構造化もしくは半構造化面接での調査をされる方もまた、視点はおおよそ同じだから、参考にして下さい。


まず、質問項目を収集することから開始。一つの方法として、自由記述調査や先行研究に基づき項目を収集し、尺度を作成する。ここで、独断による項目化は避けること。次に、尺度の内容を検討する(内容的妥当性の検討という)。検討の仕方は多様だが、複数の専門家による妥当性の判定を受けるという方法がポピュラーであり、便宜的にも思われる。先行研究にて、一定の手続きの下に開発された尺度をそのまま使用するのであれば、この過程を省くこともできる。ただし、事前に必ず当方に示すこと。以上の過程で同時に考慮すべき点は、質問紙全体の項目数。どの程度の項目数が適当なのかは、調査の内容にもよるが、やはり、調査協力者の負担にならないような配慮が必要。望ましくない一例を挙げておく。


過去の私の調査事例を挙げてみる。各尺度の項目数を絞る作業は成功したものの、複数の研究を成立させる必要性から、比較的多くの尺度を質問紙に取り入れたことがある。倫理委員会への申請はもちろんのこと、協力機関と調査協力者には、この点についても協力への同意を得た上、調査用紙への回答を得ることができた。しかし、それでもやや無理があったよう。それを自覚したのは、データ入力後の分析段階。質問紙の後半に設定した尺度に欠損値が多く、結果が安定しなかった。一尺度でも欠損値があるデータについて、割愛しない方法とする方法とを採用したが、分析結果の一部がやや異なるというもの。理由は今更述べるまでもない。論理性から、最終的には割愛する方法を選んだが、このために使用できないデータを生んだ。恥ずかしい開示だが、この事例に学んで欲しいと思う。


それから、調査では、心理次元に加え、行動次元の指標も併せて用意するのがベター。ベストとは言わないが。研究課題にも因るが、検証モデルの従属変数の一つに、行動次元の指標を仮定しておくということ。理由は、一定の仮説において設定された心理尺度間の関連は、仮説通りに検証されやすい性質があるということ。研究課題にもよるが、安易に納得するのはどうかと思うことがある。認識と行為の不一致性はある。しかし、行為に視点を置くことは、仮説モデルの妥当性の検証上、説得力が高くなる。昨年の某学会で、生理指標からパーソナリティの推定を試みている研究者がいたが、この線上にあるのかもしれない。この研究チームの説明を聞いた限り、納得のいく前提だと感じた。

 

以上の点に留意し、各自研究を進めて下さい。

新4回生は、個別ゼミを基本とし、対応している。既に質問紙が完成している学生もいるよ。タイミングをみて指導を受けに来るようにして下さい。もちろん、アポイントをとった上でね。


以上です。