休暇小屋「カバノン」に見る人間の本質 | SP館のブログ 空間づくりのおてつだい

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ル・コルビュジエというインテリア、建築デザイナーの方が、
「休暇小屋・カバノン(Cabanon)」という面白いモノをつくっていたのでご紹介します。

空間の「広さ」というものはひとつの尺度になりますが、
その快適さを考えるときに、かならずしも「広い」ということがすべてはありません。
逆に狭いからこそ「親和性」が生まれて心地よいといった感覚もあります。
ここに注目して1950年代くらいに「最小限住宅」という考えが建築デザインの世界に波及したそうです。
日本、ドイツなどではいわゆる「集合住宅」につながっていく流れなのですが、
フランスの建築家、ル・コルビジェはこの究極のミリマリズムを具現化しようとします。
それが、現在もフランスのカップ・マルタンに実在する「休暇小屋・カバノン」となります。

建物の概略や風体は、「休暇小屋・カバノン」で検索すれば、そこを訪れた方々のブログなどで詳しくレポートされいますし、私は行ったことがないので割愛しますが、
この建物の設計のコンセプトが非常に面白いんです。

もともと彼は人体を基準とした「モデュロール」という寸法システムを提唱してました。

人間の細部の寸法をもとに、建築細部の寸法を決める考え方で、黄金率などの考え方も
応用されています。
そして、ル・コルビジュエ自身を基準としたモデュロールで、家具から何からをすべてセットした
「小屋」を作ってしまったということです。
基準身長183cm(結構大きいですね)、
小屋のタテ、ヨコ寸法が2倍の366cm、
天井高の226cmは、彼のヘソしたまでの寸法113cmの2倍の寸法となっています。
もちろん、家具やトイレの高さ、ベッドの大きさ、動線の移動距離などもすべて計算されてます。

大きさは日本の8畳間程度でありますが、人がひとり住む上での快適性を追求した空間のひとつの形としての究極と言ってもいいかもしれません。
ちなみに、彼はここで晩年を過ごし、1965年に小屋の前の地中海で遊泳中に急死し、生涯を閉じているそうです。
終の棲家ってヤツです。


参考になりましたら幸いです。

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