「デパ地下」って世界について研究してみる | SP館のブログ 空間づくりのおてつだい

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個人的には「デパ地下」が好きです。
ちょっとしたパーティのオードブルや、出張先の駅に隣接したデパ地下で帰りの新幹線の中で食べるお弁当を買ったり。
買い物そのものを楽しめるという点では、すごくステキな空間であると思います。
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■デパ地下の発達の歴史

惣菜やらお弁当やらの「食」としての機能が「地下」にあるというデパートの形態は、日本固有のものだそうです。

そもそも、デパートの発祥そのものはヨーロッパですが、日本のそれが発展してきた最初のスタートはアメリカからの輸入。
雑学的には、最初は三越呉服店が「デパートメント宣言」というものをしたことにあります。
そこからは高度成長期、バブル、平成不況と日本の消費社会の流れそのままで来るわけですが、そのような時代背景の中、「デパ地下」というひとつのジャンルとして独自の発展を遂げていくこととなります。

二つの要素がその発展に影響を与えてきました。
「ファッション」「女性の社会進出」

デパートいう機能はその発祥からもわかるとおり、服飾という分野で発展してきました。
その中でも、特にハレの日のモノを中心に、ひとつランクが上のモノ、憧れを牽引力としてきました。
ただそれも・・・前述のような日本経済の歴史をたどるにあたって、ワンランク上ということがあまり意味を成さなくなり、消費活動そのものを抑えることにつながってきます。
それよりも、他人と比べずに、自分の日々の生活を少し豊かにすること、ちょっとだけ贅沢するといったことにシフトしていくことととなっていくんですね。
これが、日常使いやギフトに使用できるレベルの「食」ということにつながり、そのステージとしてデパ地下が発達していくといった流れとなっていきます。

もうひとつの要素、女性の社会進出。
「食」に関して、時間的負担よりも金銭的負担を選ぶということ。
さらには、オーガニックや栄養バランスといった味以外の部分での付加価値においても、このジャンルでの女性の目線というのが非常に重要視されていることが分かります。


■デパ地下の今後

社会の構図はこれから数年はあまり変わらないので、現状の特色をもっと特化した空間になっていくことと予想できます。
むしろ、アパレルの安価傾向は当分続くので、「中食」を中心としたプチ贅沢に対して、生活者の消費はすすんでくと思われます。

われわれの専門である空間づくりにおいても、食における個々のブランドとではなく、そのデパートの個性を出した什器やサインで、統一性をもたせることに注力しているのが現状です。
そのあたりのデパートごとの個の演出に関しては、これからもっと進んでいくことでしょう。

もうひとつのデパ地下ならではの側面としての対面販売
同じような惣菜やパンなどでも、スーパーのそれはセルフ方式となってる現状です。
デパ地下というひとつのコンテンツで差別化をするならば、この対面という要素は非常に武器。
コンシェルジュ機能としての、スタッフの対応。
この惣菜はどうやって温めたらいいかとか、こういう献立にあうとか、そういった知識をさりげない会話の中で織り交ぜていけるスキルが必要とされています。

買い物そのものを楽しめる空間としての機能を持った空間。
そんなデパ地下のますますの発展を期待しています!!

※参考文献『なぜデパ地下には人が集まるのか』 川島蓉子著 PHP新書



参考になりましたら幸いです。
いろいろなサイン・ディスプレイ扱ってます。