原油相場は4営業日振りに反落です。週明けの時間外取引は堅調に始まりましたが買いが続かず、ニューヨーク時間帯には利食い優勢となりました。
6月28日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比$1.14安の$72.91/bblで、引け後の時間外取引は$72/bbl台後半です。
木曜の OPEC+ 会合を前に、市場は様子見のムードとなっています。
欧米でのワクチン接種拡大による経済正常化の動きが需要回復期待を継続させており、OPEC+ は日量50万バレル規模の減産幅縮小を行うと見られています。
昨年後半の$40/bblを挟んだレンジ圏を上抜けた後 WTI 原油相場は息の長い上昇を続けてきましたが、既にコロナ禍前の2019年の高値を抜き、需給バランスの締まっていた2018年の高値域に迫りつつあります。
足元の需給バランスは確かに日量100万バレルを超える供給不足ですが、昨年前半に積み上がった在庫は米国など OECD 諸国では減っているものの全世界では引き続き重石です。
また、世界の石油需要の伸びを牽引する新興国ではワクチン接種が進んでおらず、需要回復も遅れ気味となっています。
弱材料を意図的に軽視して強材料だけを囃してこの水準まで上げてきた原油相場に対し、高値警戒感が出るのも自然な流れと思われます。
更に、7月以降は世界の石油需給バランスが均衡に向かうと推測されており、原油相場は上昇を支えるエンジンを喪失することになります。
アブダビ国営石油会社は、9月積みのアジア向け原油供給量を長契に対して15%削減すると伝えられています。理由は明らかにされていません。
■ Report: ADNOC to Deepen Crude Oil Term Supply Cut (Offshore Engineer)
8月の5%より深い削減ですが、秋の製油所定期修理期に加えてインドや日本の需要回復が鈍く、中国も高値と在庫潤沢で購入意欲が低いと考えられます。
2021/6/28
NYMEX WTI Aug: $72.91/bbl ( -1.14 )
20日移動平均: $71.10 ( +0.19 )
ボリンジャーバンド
+2σ: $74.69/ -2σ: $67.52
幅: $7.16 ( -0.96 ) / 100日平均: $8.19
ボラティリティ
17.64 ( +0.90 ) / 100日平均: 31.46
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