原油相場は続伸し、高値は$71/bbl台を付けています。需要回復見通しに対して OPEC+ 以外の供給増加が鈍いと予想されており、OPEC+ が増産に慎重である限り需給バランスが崩れることはなく、原油価格は下振れのリスクが低下しています。
6月11日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比62セント高の$70.91/bblで、引け後の時間外取引は$70/bbl台後半です。
国際エネルギー機関 (IEA) の6月月報によると、2021年の世界の石油需要見通しは日量9,640万バレルで前月の予想から横ばい、2022年の需要予測は日量9,950万バレルとなっています。前年比の伸びは2021年が日量540万バレル、2022年は同310万バレルと予想されています。
2020年の前値比の減少幅が日量860万バレルと推定されているため、来年にはほぼコロナ禍による落ち込みが回復する見通しです。IEA は2022年末の世界の石油需要が日量1億6万バレルになるとしています。
一方、OPEC 原油を除く世界の石油供給量の前年比増加幅は2021年が日量70万バレル、2021年は同160万バレルです。OPEC を除く供給の増加ペースは需要の伸びに遠く及ばず、引き続き OPEC+ の動向が来年にかけての重要なカギとなることが分かります。
IEA 推定による5月の世界の総石油供給量は日量9,428万バレルで前月比同97万バレル増、OPEC 産油量は日量2,543万バレルで前月比同37万バレル増と推定されています。
イラン核協議は12日に再開予定ですが、米国は核合意とは無関係としているイラン産化学製品取引に関与した関係者への制裁解除についてイラン側は好感しています。また、18日の大統領選挙で強硬保守派が当選する前に合意への修復を終えるという見方も優勢ですが、強気ムードが支配的な足元の原油市場では制裁解除による供給増の可能性について余り材料視されていません。
ベーカー ヒューズによると、6月11日時点の米国の油井リグ稼働数は前週比6基増の365基でした。
引け後に米国商品先物取引委員会 (CFTC) が発表した6月8日時点の建玉報告では、ヘッジファンドによるWTI 原油先物の買い越し幅は前週比7.3%増で3週連続の拡大です。買い玉の増加と売り玉の減少で2月上旬以来の買い越し水準となっています。
(参考図表)
総取組高は前週比0.2%増で2週連続の増加です。
2021/6/11
NYMEX WTI Jly: $70.91/bbl ( +0.62 )
20日移動平均: $67.77 ( +0.33 )
ボリンジャーバンド
+2σ: $72.68/ -2σ: $62.86
幅: $9.82 ( +0.23 ) / 100日平均: $7.96
ボラティリティ
25.55 ( -3.36 ) / 100日平均: 32.05
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