原油相場は3営業日続落です。在庫統計はやや強気の内容ですが、市場の軟調ムードを変えるには至りません。

6月21日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比98セント安の$42.53/bblで、引け後の時間外取引は$42/bbl台半ばです。

 

米国エネルギー情報局 (EIA) の週間統計によると、先週末の全米の原油在庫は120~210万バレル減少の予想に対し前週比245万バレル減少でした。API の数字と同様の結果です。

 

原油処理量は若干低下しましたが、輸入がそれ以上に減って3週振りに日量800万バレルを割っています。国内産油量は前週比2万バレル増と小幅な増加が続きます。

 

 

石油製品の総出荷量は日量2,100万バレルを超えて今年最高の水準となり、前年比も同106万バレル増と大幅なプラスに転じています。

 

こうした発表内容を受けて買いは出たものの、上値の重さから午後に入って失望売りが加速しました。

 

メキシコ湾に発生した熱帯性暴風雨シンディは海洋油田地帯の中心部を直撃し、メキシコ湾岸地域の原油生産量は17.2%が停止したようです。

 

 ■ USGC offshore producers brace for Tropical Storm Cindy (S&P Global Platts)

 

強気ムードの市場では価格の上昇要素となるそうしたニュースも、現在の状況ではほとんど話題に上りません。

 

2014年以降に積み上がった在庫水準の重石は、短期的な供給障害などその規模に関わらず無視できる存在としています。一方で供給増加は、大した量ではなくとも市場参加者の心理に影響を与えています。

 

日量数十万バレルから百万バレルの供給不足が1年程度続かなければ世界的な在庫水準の劇的な低下は実現しない可能性が高く、それまで原油相場には上値に大きな壁が継続することが見込まれます。

 

需給が均衡している原油相場が長期下落するのは客観的に見て合理的な展開とは言えませんが、それ以上に上値の重さに対する閉塞感が原油相場の反発機運を殺いでいるのでしょう。


2017/6/21
NYMEX WTI Aug: $42.53/bbl ( -0.98 )
20日移動平均: $45.97 ( -0.36 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $50.56/ -2σ: $41.37
 幅: $9.19 ( -0.09 ) / 100日平均: $6.10
ボラティリティ
 30.12 ( -0.97 ) / 100日平均: 24.41

にほんブログ村 先物取引ブログ 原油先物へ
にほんブログ村