中国の原油処理能力の余剰見通しが深刻になりつつあります。経済成長減速による需要の伸びの停滞と、高成長時に起工した新施設の稼動が重なり、製油所稼働率は急速に低下する見通しです。

中国の原油処理能力について正確な数字は公表されていませんが、2013年の新規の能力増加は日量80万バレル弱と見られており、2013年末の中国の総原油処理能力は同1,230万バレル余りと推定されます。
更に、2014年には日量110万バレル近い能力が追加されると予想されています。

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中国では、2000年以降GDPの二桁成長率などを背景にエネルギー需要の堅調な伸びが予想され、実際に2000年代後半から2010年にかけて原油処理量の伸びも加速していました。
製油所稼働率は80%を超え、定期修理の期間を考慮すると全国でフル稼働が続き、それでも不足する石油製品供給による社会的な混乱も頻発しました。

しかし、2011年以降中国のエネルギー需要の伸びは急速に鈍化しています。
国家統計局による年間原油処理量の前年比は2010年に14.5%増だったものが2011年には5.7%増となり、その後3.4%、2.5%と年々成長率が低下し、2014年1~2月の原油処理量は前年同期比1.0%の減少です。

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乗用車の普及に支えられるガソリンの生産量ですら、2013年は前年比9.5%増だったものが今年1~2月は同4.9%増に留まっています。一方、中国の石油製品消費の主役である軽油は2013年の生産量が前年比0.3%増と横ばいで、今年1~2月には同2.6%の減少を記録しました。

生産量が減っているにも関わらず、新華社によると今年2月末の軽油在庫は昨年末に比べて53%増加しています。
中国における産業活動の低迷を象徴するような数字と言えるでしょう。

ところが、エネルギー需要見通しが総強気だった2000年代後半に計画された製油所が、こういう状況下でどんどん完成して稼動を始めることになります。

政府データを基にした推定では、2013年の中国の製油所稼働率は70%台半ばに落ちているとみられますが、ペトロチャイナによると実態はもっと深刻で67%だったといいます。

今年は処理能力の大幅な増加と石油需要の一段の減速によって、稼働率が6割を切る可能性もありますね。

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