加工貿易の不振が続く中国で、輸出企業による国内販売を促す措置が取られるようです。しかしエネルギー消費量は内需の成長を示しておらず、先行きの困難を予想させます。

 ■ 海关推进加工贸易内销便利化 提高企业抗风险能力 (新华网)

中国の加工貿易企業は保税地区にあって、海外から無関税で輸入した部品や材料を使い作った製品を輸出します。改革開放以来中国の外貨獲得に貢献してきました。
製品は原則的に輸出向けのため国内販売には当局の許可が必要ですが、一旦香港に輸出した後中国に再輸入するなどの手段で以前から一部は国内販売が行われています。

ところが、2009年にはリーマン・ショックを受けた世界的な景気の後退のため優良加工貿易企業への国内直接販売許可が下りやすくなり、そして今回は優良企業だけでなく一般の加工貿易企業にも国内販売を広く推進させる方針とされます。

中国税関当局の統計によると、8月の加工貿易額は1,126億ドルで前年比2.2%の減少です。7月に続いて2か月連続での前年割れとなっています。

油を売る日々-ChinaTrade

リーマン・ショックによる落ち込み時期を除いて2桁成長を続けていた加工貿易額ですが、為替レートが1ドル=6.4元を割れる人民元高水準となった昨年第3四半期くらいからは伸びが鈍っています。

加工貿易を代表するような日本から中国への輸出も2010年末をピークに下落を始め、それまでは比較的連動性の高かった中国の輸出額の推移とも昨年の震災以降は乖離が拡大傾向です。

加工貿易の伸び悩みが深刻な一方、一般貿易が比較的堅調なため中国の総輸出額は今年に入ってもまだ緩やかなプラスを維持しています。
これは外資の下請け的な加工貿易から国内産業の成熟化への移行の表れとも考えられ、内需が育っていると期待する人々も少なくありません。

油を売る日々-ChinaGrowth

ただ、中国のエネルギー消費の伸びの推移を見る限り産業活動全体の成長減速は明らかで、一般貿易を含めた輸出総額の伸びもまた縮小傾向であることは否めません。
輸出が伸び悩む一方で内需が伸びているのであれば、相応のエネルギー消費成長が維持されるはずですから、期待されるような内需は今のところまだ育っていないと考えるのが自然でしょう。

限られた国内市場に地場企業だけでなく輸出企業も積極的に参入するなら、競争激化で製造業全体の体力低下が懸念されますね。

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