原発の更なる停止と運転再開の遅れのため、冬場の電力供給能力に不安が広がっています。
しかし、今夏の関東と同様に供給力への不安は節電を加速し、予想以上の電力需要減退を招くと思われますから、危機には至らないのでしょう。

東日本大震災の後、定期検査によって停止した原子炉の再稼動が認められていないため、国内に54基ある商業原子炉のうち現在11基しか稼動していません。

原発全体の設備利用率は20%に留まっており、さらにこの先数か月のうちに11基の原子炉の大半で定期検査開始が予定されているため、停止中の原発で運転再開がなければ来年4月には設備利用率がわずか2%となる見通しです。

発電能力の原発依存度が高い関西電力などは、同社の全原発が停止する予定の来年2月には電力供給能力が12%不足すると警戒しています。

関電、今冬の電力供給12%不足と試算 (サンケイビズ)

とはいえ、不足するのは前年並みの電力需要があった場合ですから、現実的な想定ではありませんね。

関西電力の8月の電力供給量は、節電のため前年比9%減の150億kWhに止まっています。

震災以来、東京電力や東北電力管内を中心に電力供給力不足による節電が産業活動を抑制し、それがさらに電力需要の低下を招くという展開となっており、電力10社による供給量は8月が前年比12.1%減、9月も9.1%減となっています。

下のチャートは電力10社による電力供給量の推移を示したものです。
今年9月までの数値は実績で、その後10~12月は需要が前年比10%減、来年1~2月は同12%減、3~4月は同5%のマイナスとなると見込んで推定しています。

油を売る日々-power111016

10月以降の原子力発電は、稼動中の原子炉が予定通り定期検査入りして、運転再開は無いものとして推移を予測しています。

原発の停止によって、節電が進んだとしても火力発電の必要量は来年1月に570億kWhとなる見通しで、これは今年8月の実績よりも35億kWhほど多くなります。

燃料のLNGにして50万トン相当くらいになるでしょうか。

ちなみに電力10社による火力発電用LNGの消費量は今年8月が481万トン、9月は436万トンです。
昨年の同期は8月が417万トンで9月は354万トンでした。

電力10社のLNG火力発電所の稼働率は通常30%前後でしたが、今年7月以降は急増して8月には40%弱となった模様です。

追加LNGの調達も発電所稼働率の一段の引き上げも可能でしょうが、問題は需要ピーク時の供給力確保ということになります。

結局、今夏の東電管内のようにピーク時への不安から全体の電力需要が減少するということが冬場の関西電力管内でも発生するものと思われます。

1~2月の日本全体の電力需要は前年比15%近いマイナスとなるかもしれませんね。
その場合、火力発電の必要量は今夏並みに留まるのでしょう。

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