「……お前さ、また痕付けただろ。何なんだよその癖」
「俺のだってアピール以外どんな意味があんだよ」
 
至近距離で覗き込まれるように言われて、何て反応したらいいかわからなくなる。
今までもそういう思いを刻みつけられてきたのかと思うと胸の奥がぎゅっとなった。
 
 
 
 
 
 
「……翔。ちゃんと俺を切れよ」
「……どういう意味だよ?」
「恋愛も結婚も好きにしろよ。俺が言うことじゃないかもしれないけど」
「……お前もそうするってこと?」
「俺とお前じゃ状況が違うだろ。多分これから櫻井翔争奪戦が始まるんだろうから、俺なんか気にしないで人生を謳歌しろよ」
「……待ってる、っていうのはダメなの?」
「重い」
「……言うと思った」
 
 
恨めしそうな顔で俺を見てくるから思い切り笑ってやった。
いつだってポジティブで前進するのみの翔にそういうのは似合わないと思う。
重いのは俺だけで十分だ。
 
 
「お互い自分の人生ちゃんと好き勝手生きよう。縁があったらまたいつか会えるだろ」
 
 
 
 

 
 
彼には俺に縛られてほしくないし、今まで通り真っ直ぐ明るく生きていってほしい。
それが俺が好きになった櫻井翔だから。
 
俺もお前みたいに自分の道を胸張って生きることができたら、本当にいつか会えるんじゃないかと思う。
 
 
 
 
 
 
「絶対また会うからな。会ったら覚悟しとけよ」
 
 
 
 
 
 
こういうことを真っ直ぐに言えるコイツが好きだし、羨ましい。
言葉では答えられないけど、同じ思いだということは伝えたくて俺からキスをした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺たちはそれからできる限りの時間を一緒に過ごした。一緒に起きて、一緒にごはんを食べて、一緒のベッドで寝た。
 
「……もうシャワー行くとか言わない?」と言われた時はドキッとした。
「お前がさ、終わった後すぐ自分の部屋行っちゃうのが寂しかったんだよ」
「……ごめん。なんか、どうしていいかわかんなかった」
 
あの頃は、何度も重ねられるキスや、絡まる視線、髪を撫でる手の意味を問いただしてしまいそうで怖かった。
聞いてみれば、案外すんなりいったのかもしれない。
でも、やっぱりあの頃の俺にはそれは無理だったろうし、あの頃があったからこそ今一緒にいられることを大切に思えるんだと思う。
 
「俺はさあ、おはよーのチューとかお前にしたかったわけよ」
「はあ?」
「これからはそーゆーことできるわけじゃん?」
「いや俺朝弱いから無理。たぶん殴ると思う」
「お前が口だけだってことはわかってるよ。かわいいな潤ちゃん」
「オイ調子乗んなよ」
「はいすいません。じゃ、おやすみのチューしよ」
「するか!」
 
ちょっとした攻防はあったけど、もうお互い笑っていて、最後はキスされてやった。
 
 
 
 
 
彼と過ごす毎日は楽しくて、だからこそ少し切ない。
 
できるだけ覚えていられるように、できるだけ長い時間一緒にいたかった。
 
 
 



 
 
そうして今日も一日が終わり、別れの日までのカウントダウンが刻まれていった。
 
 








繁忙期がスタートしてしまったため、更新頻度は落ちます。。
あと少しなんですけどね😭
潤ちゃんは思考ぐるぐるタイプでお話は結構停滞していましたが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです♡


ソユ