夜空に月を見つけると
なぜか少し
足を止めたくなります
いつもそこにあるはずなのに
満月の夜には
誰かに
「今日は月がきれいだよ」
と伝えたくなることもあります
日本人は昔から
月を眺めてきました
ただ夜空に浮かぶ月を
見るだけではなく
月のために
少し立ち止まり
その美しさを味わう
「月を愛でる」という言葉には
そんな静かな時間が
込められているように思います
秋には
月を眺めるために
すすきを飾り
お団子を供え
月が昇るのを待つ
美しいものを見るために
わざわざ時間をつくる
今思うと
なんとも豊かなことです
そして
日本人が愛でてきたのは
満月だけではありません
細い三日月
少し欠けた月
雲の間から見え隠れする月
すべてが見えていなくても
そこに美しさを感じてきました
桜が散り
葉が色づき
やがて枝を離れていくように
月もまた
満ちては欠け
欠けては満ちる
自然は
いつも同じ姿ではありません
だからこそ
今日の月は
今日しか見ることのできない月です
忙しい一日の終わりに
ほんの少しだけ
空を見上げてみる
何かをするためではなく
ただ月を眺める
そんな時間を
昔の人は
大切にしてきたのでしょう
美しいものに気づき
立ち止まり
心を寄せる
「愛でる」という言葉には
そんな日本人の感性が
静かに残っているように思います
