春になると

私たちは桜の開花を待ちます

 

つぼみがふくらみ

一輪 また一輪と花が開き

やがて満開を迎える

 

青空の下

枝いっぱいに咲く桜は

思わず足を止めてしまうほど美しいものです

 

けれど私は

満開の桜と同じくらい

散りゆく桜にも心を惹かれます

 

風が吹くたびに

はらはらと舞う花びら

水面に浮かぶ花びらや

道を淡い色に染めていく桜を見ていると

美しいと思うのと同時に

どこか寂しさを感じます

 

もうすぐ

この景色が終わってしまう

 

そうわかっているからこそ

一瞬一瞬を

大切に眺めたくなるのかもしれません

 

 

 

 

日本人は昔から

咲き誇る花だけではなく

散っていく花にも

心を寄せてきました

 

ずっと変わらないものではなく

移ろいゆくもの

やがて失われてしまうからこそ

今ここにある美しさを愛おしく思う

 

そんな感性を

私たちは自然の中から

少しずつ育んできたのかもしれません

 

桜は散り

季節はまた次へと移っていきます

 

けれど

その儚さを知っているからこそ

また春が巡ってくることを

心待ちにするのでしょう

 

美しいものを

いつまでも留めておくのではなく

その時だけの姿を

静かに見送り

また巡りくる季節を待つ

 

散りゆく桜を眺めながら

そんな日本人の心を

少しだけ感じるような気がします