履き清められた露地
水打ちされた石畳を渡り
茶室に足を踏み入れた瞬間
静謐な空気を全身で感じる
この最初の瞬間がたまらなく好きです
障子越しに差し込む柔らかな光
鳥のさえずり
釜の湯が沸く音
香により清浄な気が満ちた室内は
凛とした空気を纏っている
亭主が畳をすり足で歩く音
柄杓を扱う竹の音
茶筅でお茶を点てる音
静けさの中でこそ
美しい音はひときわ輝きを放ちます
亭主はお客様を迎えるために
一つひとつを丁寧に整えます
その目には見えない心配りが
空間全体に清らかな空気を生み出しているのでしょう
忙しい毎日の中では
つい頭の中がいっぱいになってしまいます
けれど茶室では
ただお湯の音に耳を澄ませ
季節の和菓子を味わい
一碗のお茶をいただく
ただ静かな空気の中に身を置いてみる
それだけで十分なのです
いつの間にか呼吸が深くなり
心の波が穏やかになっていることに気づきます
* * *
茶道は難しいものでも
特別な人のためのものでもありません
静かな場所で
ほんの少し立ち止まり
自分を取り戻すための時間
そよのときが大切にしたいのは
心がふっとほどける そんなひとときです
