あんたたちー!!ヽ(*`Д´)ノ
元気しとんの?ちゃっかり前向きまくってんの?!
今までさ、私の学生時代の恋バナ3つ書いたじゃない?
数年来の読者様なら知ってるだろうけど、それ以外にも恋バナいくつかブログにアップしてたわけ。大人になってからのやつを。
今日はそのひとつを書き直そうと思う。季節もちょうど今頃のお話だしね。
もう自分の恋バナなんか書くかボケー!って思ってたけど、秋だから秋なのよ。あき竹城。まぁおセンチだしね。プ。
時系列的に言えばこの話
の後になります。
気楽に書くんで気楽~に読んでね!私の恋バナなんてどうでもいいだろうけどさ。プ。
ごめんね、タカちゃん
第一話「回る、回る」
私は、飲み屋で働いていたことがある。
深夜。店を後にした私は、自転車で帰り道を急ぐ。
客に愛想を振りまいて、振りまいたのに。真夜中は一人ぽっち。
キイ…キイ…
ペダルの音が虚ろに夜に響く。
昼間の喧騒が嘘かと思うほどのしんとした電気街。シャッターが下りた店々の間を車輪は滑っていく。
静か過ぎて、点滅するたびその音が聞こえそうな信号を右に曲がると、申し訳程度に作られた、都会の小さな公園があった。
その斜め向かい、真夜中にまっさらな光を落として、そのコンビニはあった。そこだけが真昼だった。
扉が開くと鳴り響く、ピロロンピロン♪というウキウキした音色。
フラッシュをたいたように白く明るい店内は、化粧疲れくすんだ心には強すぎる。
「いらっしゃいませ」
お世辞にも接客に向いているとは言えない、いつもの低い声が私を迎えた。
レジの、その声の主に軽く会釈すると、彼もちょこっと頭を下げる。
私が立ち寄るその時間に、彼は大抵いた。
スッと背が高くて、黒縁メガネをかけた彼。
あまりに毎日のように会うので、いつか軽く会釈するくらいの間柄になっていた。
彼を思い出す時は、この場面が一番に浮かんでくる。
ただの店員と客だった、彼と私のなんでもない場面。
ごく稀だったけれど、彼の姿がない夜は、なんとなく損をしたような気分になった。
自動扉越しに彼の姿がレジにあるかどうか、確認するようになっていた。
あぁ今日はいない……と落胆しながら店内に足を踏み入れても、
「いらっしゃいませ」
と、品出しをしていた彼が商品棚の向こうから顔を覗かせると、少し微笑んでしまう自分がいた。
職場と家を往復するだけの単調な「独り」のルーティーン。
さりげなく交わす彼との挨拶は、グレーの心に、朱や黄色、桃……少しだけ綺麗な色を足してくれる気がした。
そんな関係が数ヶ月続いた、秋の入り口。
いつものように、彼に会計をしてもらっていた。
もう一人の店員はパンの搬入だかで、向こうの方でバーコードリーダーをピッピッと鳴らしている。
私は大抵ひとつのものにハマる。
イチゴ大福が美味しいと思えばしばらくはそれを買い続け、新製品のチョコが美味しければ執拗にチョコばかり買う。
その頃はちょうど「まるごとフルーツヨーグルト」にハマっていた。
「○○円になります」
バーコードを通し終え、低い声で合計額を言い、商品を袋に詰める。一連のマニュアルの流れ。
彼の手を、私は見ていた。
スラッと長く伸びた指と男らしい平たい爪が綺麗だと、いつも思っていた。
「あの」
彼は、そんな私にポツっと話しかけてきた。
それが。
たった三ヶ月の思い出のはじまりだった。
あの冬の夕暮れ、二人を乗せてゆっくり回った観覧車は今日も回り続ける。
第二話へ続く