誰にでもやってくるものが死。しかし、突然、癌を宣告されて、そう遠くない未来に確実に死んでゆかなければならないとなると、目の前が真っ暗になります。
その時、どれだけのお金があっても、死んでゆく自分にとって意味の無いものになってしまうと思います。
考えてみると、私たちのすべての活動は、生きていることを前提にあります。
未来を考えても、それは必ず自分が存在する未来であり、そこにすでに自分が去っていて、いなくなっていると考えることはありません。
でも、癌にかかると、それが一転して、未来のこの世界には自分はいないのだなと考えるようになる。
そこではほとんどの人は生きる希望を失う。また、希望を捨てない人も、ひょっとしたら助かると思うからであり、死んでゆくことが確定しているのに、それでも生きようとは思いません。
でも、本当に生きるとは、たとえ未来に死が待っているとしても、残された時間で何をするのか、それを考えて生きることは、実はとても大切なことだと思います。
残された時間の中で、何が本当に意味があるのか？
それを知って生きることは、人生にとって何よりも大切なことだと思います。
本当は元気なうちに考えなければならないことだと思いますが、人は本当に残りの時間を宣告されなければ、真剣に考えることはありません。
私は本当は何の為に生きているのか？
それを考える時間が残された時間を意識するようになってから、考えなければならないことなのです。