たった一言があるかないかで相手の心は大きく変わる。たった一言ありがとうというだけで、施しをした人はまた施したいという気持ちになるし、そのありがとうの一言がないだけで、もう二度と施しなんかするもんかと思うものです。
世の中には人や物に恵まれる人がいますが、そういう人は、この一言がちゃんと言える人なんだと感じます。
もちろん仏法ではお礼を言われる為に施しをしてはならないと教えられますが、そう教えられるのは、それだけみんなお礼を期待しているからです。
だから、その一言をちゃんと言うだけで、相手は施して良かったという気持ちになり、この人の為にもっとしてあげたいという気持ちになります。
仏法では、施しをすることも大切だと教えられますが、施しを受けることも施しをするくらい素晴らしい行いだと教えられます。
それはまわりの人に施したいという気持ちにさせるからです。施しをすることは素晴らしい善。その善をやりたいという気持ちにさせることは、素晴らしい善です。
また、施しを受けることで、感謝の心が養われ、謙虚な気持ちになります。
仏教の講師とは施しを受けてゆくことで生活してゆきます。だから、いつも自分と接した人が施したいと思ってもらえるように心がけてゆかなければなりません。
その時に大切なのが一言。このたった一言を疎かにせず、いつもまた施したいと思ってもらえるように心がけることが講師としての大切な任務です。
たった一言、されど一言。この一言に心がけて生きてゆきたいと思います。