仏教に至誠心という言葉があります。これは最高に正直な心のことで、仏教では至誠心になりなさいと教えられます。
これを聞くと正直になることが良いことだと思って、何でも思っていることを正直に言えばいいと思っている人がいます。
しかし、至誠心とは、大事な人がいて、その人に対して格好つけることなく、嘘偽りのない自分で接しなければ、相手を騙していると思う心から正直になろうという思いであり、一切の言い訳をせず、正直になって種まきに徹する心です。
私たちは正直になったらお粗末な存在です。それを表面だけ格好つけて良く見せようとしています。しかし、至誠心とは、そんな表面の取り繕いを止めて、お粗末な自分を認めて、それでいいんだと思わずに、少しでも良くなろうと努力してゆく。それが至誠心です。
努力もせずに正直だからいいんだと自惚れている心とは天と地ほども違うことをよく知らなければなりません。