人間というのは、どんなに死を目の前にしても、自分が死ぬとは思えない。どこかで自分は何とかなると思っています。
それは私たちは自分の存在を玉子の殻のような存在だと感じているからです。殻が割れたら、その中には何もない。
自分の中に何もないから、その殻が割れてしまう死を考えることができないのです。
死が恐ろしいと思えるのは、死を経験したことのある魂だからであり、殻の中に自分というものを持っているからです。
殻だけで生きているのか、中身があるのか、世界の感じ方が全然違います。
中身のある人は、すべてのものに終わりがあると本能的に感じています。そして、最後は置いてゆくものしか知らないことが虚しいことだと感じています。
無常の世の中で無常だと感じることは、死を経験したことのある魂しか感じないものなんだと思いました。