考えてみると、私は以前楽しみと言えば、欲を満たすことだった。少しでも時間ができると、欲に走り、時間をどれだけ過ごしても、欲を満たせたから楽しく時間を過ごせたと思っていた。
でも、仏教がだんだんと知らされてくると、人生には死という終わりがあるのだということが分かってきた。そして、この当たり前のように流れている毎日は有限なんだと感じるようになりました。
そうなると、欲に流れることがだんだんと空しく感じられるようになった。だって、どんなに欲を満たしても、何も変わらないから。そして、何も変わらないのに、時間だけがんがんと過ぎてゆく。その先には死が待っていると思うと、今ある時間を無駄に過ごしているように感じて、欲を満たしても楽しめなくなった。
じゃあ、欲から離れることができたかというと、私は欲を満たす楽しみしか知らなかったから、楽しめないと分かっていても、時間ができると欲を満たせるものはないかなと探していました。でも、どんなことをしても、それが欲である限り、楽しくない。それでも、時間ができると欲を探している。
こんなことを果てしなく繰り返すうちに、やっと欲では楽しめないんだなということが本当に分かってきました。
そうすると、今まで欲に流れていた時間がぽっかり空いて、膨大な時間ができた。だからと言って、これをやりたいもいうものがない。
ただ何もない時間を穏やかに過ごすだけの毎日がやってきました。
欲がなくなった今、この時間をどう過ごすことが私にとって幸せか、それが私の人生の課題です。
きっとそれはこの世界に少しでも仏法の教えを残してゆくことなんだろうと思いますが、そこに向かって心が固まるまで、ゆっくりと自分の心を待ってあげたいです。