頻婆娑羅王勅せしめ 宿因その期をまたずして 仙人殺害のむくひには 七重のむろにとぢられき
韋提夫人は結婚してもなかなか子供が産まれなかった。そこで占ってもらった所、山奥の仙人が亡くなったら、今度は偉大夫人の子供に生まれると教えられた。では、その仙人が亡くなるのは後何年かと聞いた所、あと五年もかかると言われた。五年も待てない。五年も待ったら子供が産めない年齢になってしまう。そう思った偉大夫人は夫であるビンバシャラ王をそそのかして、仙人を殺害した。しかし、その報いで、身ごもった子供が親を恨んでいると思うようになり、せっかく身ごもった子供も殺そうとした。そして、そのことを生まれた阿闍世が知り、烈火の如く怒り、王を殺害し、それを助けようとした韋提夫人も七重の牢に閉じこめられたのである。