『壬生義士伝』の著者 浅田次郎さんは1日4時間読書をし年間300冊読破されるそうです。
読書ブログを書いてっらしゃる方々も1ヵ月10冊以上は読まれ、年間100冊以上なんて当たり前の方ばかり。
すごいなぁと感心するばかり
私はそんなに読めないし、じっと1時間以上本を読み続けることも出来ないです
空いた時間に自分のペースでぼちぼちと読んでいます。
でも暑い夏、出かけることも無く、クーラーの部屋で本を読んでいたら、いつもよりちょっと多く読んでいました。
今月に読んだ本
忘れないようアップしておきます
39)松村栄子著『僕はかぐや姫/至高聖所(アバトーン)』
絶版になっていたが、約30年ぶりに復刊されたもの。
『僕はかぐや姫』はセンター試験出題で話題になった著者のデビュー作で、『至高聖所(アバトーン)』は芥川賞受賞作。
僕はかぐや姫:伝統ある進学女子高に通う千田裕生(ちだひろみ)。
文芸部に所属し、文芸部員たちは自分のことを「僕」と呼ぶ。17歳が人生で一番輝いている年齢と考えている裕生。その裕生の魂の彷徨を描いた小説と言えばいいのだろうか?
裕生に共感するには、私は年を取りすぎていると感じてしまった。
センター試験にどのような問題が出題されたのだろか?私にはきっと解けないだろうと思われる。
至高聖所(アバトーン):アバトーンとは古代ギリシャにあったとされる夢治療の場のことだそう。
走るものと言えばトラクターと軽四輪しかない農村に突如新構想大学ができ、その大学の理系学部に入学した青山沙月。
学生寮で同室になったのは社会学部の渡辺真穂。
沙月は鉱物研究会に入部し地道に活動。真穂は新聞会やボランティアや劇団の活動に参加し忙しくしている。そんな二人が同室でどんな生活を送るのか?逃げ出したくても周りは大学以外なんにもない!
真穂にひっかきまわされ気味の沙月。
沙月と真穂の寮生活の様々な出来事が綴られる。
こちらも共感するには、私にはもう瑞々しさが足りないと感じた。
40)赤川次郎著『午前0時の忘れもの』
<今夜12時、実ヶ原バスターミナル>とのメッセージが届いた人たち。
高校生朝倉恵は恋人から、会社員永尾要治は妻と子供から、ランナー安田沙由利は片思いの彼から、社長夫人森下美津子は夫から、ヤクザの親分金沢弥一郎は妻と孫から。
それは、長距離バスが湖に転落するという事故があり、バスに残されたまま湖底の深い泥に車体ごと埋まったままの人たちからの伝言だった。
メッセージに導かれてバスターミナルに集まった人たち。そこに、最終バスを逃した大学生綿貫るみと原田法子が着き、社長秘書一ヶ瀬布子は森下美津子のお供で、金沢弥一郎には子分3名が付き添いで、沙由利違いの小沢小百合もやってきた。
ターミナルの外では金沢弥一郎の命を狙うヤカラも!
寂れたバスターミナルに集まった人たちは奇妙な連帯感で結ばれていく。
そして12時になり、バスごと戻って来る亡くなった人々。彼らと出会うことによって迎えた人たちは・・・?
私の好む亡くなった人と会う話です。もう絶対会うことができないという絶望感を癒してくれます。
この物語で印象的なことは朝倉恵が恋人から一緒に来てと言われ迷うところ。そう言われると私ならどうするだろうと考えてしまった。
心に響くいい物語でした。
41)篠原美季著『ヴァチカン図書館の裏蔵書』
ちょっと前?いや、だいぶ前かな?印刷博物館で開催されていた「ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ」に行き、展示されていた美しい図書の数々に感嘆しました。そのヴァチカン図書館が書名になったこの本、しかも裏蔵書なんて興味をそそられる!
日本人の父とイタリア人ハーフの母から生まれたローマ大学に留学中の玄須聖人(くろすせいと)、ダビデ像にそっくりなマリク・フェデリオ神父、聖人の中高時代の先輩で新聞記者斉木真一、聖人の大叔父ジョバンニ・デ・バレリ枢機卿が主な登場人物。
聖人はローマ大学ラーメ教授から企画展の資料集めを依頼され、ヴァチカン秘密記録保管保管所で作業を進めることに。
その頃、魔女狩りを彷彿させる猟奇殺人が起こり斉木真一が真相を追っている。
教皇庁にも疑惑の目が・・・!?あわや聖人も犠牲に!?
ヴァチカン図書館の蔵書が出てくるのかと思いきや、そうでなく、案外甘々なお話だった。
42)東野圭吾著『分身』
札幌の大学に通っている函館生まれの氏家鞠子18歳。東京の女子大生小林双葉20歳。二人は同じ顔をしている。
母が自殺して数年が経ち、その原因を探るため父の大学時代を知ろうと大学の休みを利用して東京にきた鞠子。
アマチュアバンドで歌手をしている双葉。テレビ出演を母に禁止されていたのにもかかわらずテレビに出てしまった双葉。
東京で双葉の存在を知ってしまう鞠子。
鞠子の章と双葉の章が交互に綴られ物語が進んでいく。
この小説は1993年9月に刊行されたもので、当時なら最新の話題だったろうクローン問題が取り上げられている。
25年以上前の作品で話題性には欠けるが読む分にはとても面白かった。
鞠子と双葉のレモンの食べ方(かじり方)に「たとえどのように生まれてきたとしても姉妹だよ」という著者の愛情が感じられたように思えた。
43)はらだみずき著『海が見える家』
悪戦苦闘の就職活動の末、ようやく決まった就職先をゴールデンウィーク明けの月曜日に<今日から会社に行きません。辞めさせていただきます>のメール1本で辞めた緒方文哉。
と、同時に父親が亡くなったとの電話。
とりあえず千葉県館山市の病院に駆け付けた文哉。
両親の離婚後、姉宏美と文哉は父に引き取られ、宏美と文哉が大人になって家を出た後、父は館山に移住し、宏美・文哉とは疎遠になっていた。
父の遺品整理のためしばらく館山で暮らすことにした文哉は、そこでの父の暮らしを辿ることになる。
父の残した丘の上にある「海が見える家」の物置でサーフボードを見つけたり、現地の人や周りの別荘に住む人たちとの交流を通して、文哉は今までとは180度違う人生を知ることに・・・。
文哉の気持ちがほぐれていく様子がほのぼのしていて、静かな幸せとはこういうことなのかなと感じた物語だった。
44)荻原浩著『金魚姫』
仏壇・仏具の販売会社メモリアル商会に勤める江沢潤。そこはノルマ達成を厳しく追及し勤務時間や土日に配慮の無いブラック企業。しかも同居していた恋人にもふられ、心身ともに疲れ切った潤は睡眠導入剤をお酒で流し込まないと眠れないという毎日を送っていた。
ある日近所の夏祭りで金魚すくいをし、琉金をゲットする。ついでに古本屋で『金魚傳』を購入。琉金にリュウと名付け飼うことに。
金魚を持ち帰った夜、潤の目の前に赤い衣をまとった謎の女が現れる!
誰?幽霊?金魚女?その女は琉金の化身だった
リュウはどうも仇を捜しているようだが、いまいち記憶が定かでないような?
女になったり金魚になったりのリュウとの不思議な同居生活が始まり、潤にも死者が見えるという奇妙なことが起こりノルマの成績がアップするように!
潤も親身になってリュウの探し人を捜すうちに・・・・。
リュウがいることによって潤の心身も癒され元気を取り戻すが、最後に分かったことが・・・驚きと切なさでいっぱいになった。
夏に読むのにぴったりの面白さと切なさが詰まった小説だった。
45)米澤穂信著『氷菓』
とても理不尽で悲しく怒りでいっぱいになる京都アニメーション放火事件
その京アニ制作作品の1つ『氷菓』を読みました。
<古典部>シリーズ第1弾!
神山高校に進学した折木奉太郎(おれきほうたろう)。世界を放浪している姉から手紙が届き、古典部入部を強制される。
奉太郎は「やらなくてはいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に。」がモットーの省エネ高校生。
地域の豪農千反田家の娘 千反田える、奉太郎の旧友 福部里志、図書委員の伊原摩耶花も古典部に入部。
新学期、4名で古典部がスタートする。部長は千反田える。
そして、奉太郎は仲間のちょっとした謎を解いていき信頼されていく。
文化祭に出品する古典部の文集「氷菓」。その「氷菓」という題名解明は、えるの伯父関谷潤の行方不明と絡み合い、33年前に学校で起こった事件の追及まで発展していく。それは神高文化祭をカンヤ祭と呼ぶのかの解明でもあった。
古典作品の解読が主な内容なのかと読み始めたが、古典とは関係なく、古典部の面々の高校生活と謎解きが面白い。奉太郎の謎解きとそれに意見する古典部員。それを聞きまた考え直す奉太郎。それぞれ4人のキャラが凄く愛おしい。
ハマってしまったこのシリーズ!続けて読んで行きたいと思う。
46)米澤穂信著『愚者のエンドロール』
<古典部>シリーズ第2弾
高校1年の夏休みも終盤のある日。
文化祭に出品する文集「氷菓」作成に学校に集まる古典部の面々。
そこへ千反田えるから2年F組のクラス制作作品、ビデオ映画試写会に誘われる。
先輩たちの自主制作作品は、寒村の廃屋でしかも鍵のかかった密室で殺人が行われ、腕が切り落とされ死んでいる場面で終わっている。
犯人は誰?どうやって殺した?この後この物語はどう続いていくのか?
「わたし、気になります」のえるのひと声で古典部の面々はこの映画の
結末の謎解きに乗り出すことに・・・。
奉太郎出した推理は?それに対する他の古典部員の意見は?その意見で奉太郎の推理はどう変わるのか?
面白い!爽やかで面白い!と言えばいい?
最後に奉太郎の姉も絡んでいることが分かり思わず笑いが