6月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

安倍元総理大臣が凶弾に倒れたニュースは本当にショックでした。でもその後統一教会のことを知り気持ちが揺れています。犯人が絶対的に悪いと思えなくなっています。

犯人を擁護するつもりはありませんが、犯行に及んだ背景を知り、同じ事件が起こらないようどうすればいいのか政治家・マスコミそして私たちで考えねばですね。

 

6月に読んだ本のアップです本

 

27)寺地はるな著『水を縫う』

高校1年生になった松岡清澄(きよすみ)。祖母・文枝、母・さつ子、姉・水青(みお)と一緒に住んでいる。
清澄は裁縫が得意で特に刺繍が大好き。

姉が結婚することになり、可愛い格好にトラウマを感じている姉はウエディングドレスを着ないという。いろいろ説得した結果、姉のウエディングドレスを清澄が作ることになる。しかし、なかなか気に入るものができず、仕方なく母と離婚して別居中の父に相談に行く。

デザイナー志望だったが挫折した父。その父が水青のために考えたウエディングドレスに白の刺繍糸で刺繍を施すことにした清澄・・・。

関西弁で喋る登場人物に親近感を持ち、それぞれの登場人物がゆっくりふんわりと前進していく姿がすごく好ましかった。

とても読後感いい物語だった。

 

28)益田ミリ著『一度だけ』

離婚し介護ヘルパーとして働く弥生と、同居する妹・派遣社員ひな子。姉妹の母淑江と淑江の妹清子の4人が織りなすお話。

夫と死別している清子がひな子を誘ってブラジル旅行に行くところから始まる。

妹をだけを誘ったことが気に入らない弥生。

旅行メンバーの夫婦の独身の息子たちに目を付けたひな子。

男運がない娘たちから距離を置きたいと考える淑江。

1人を満喫したいと思う清子。

がむしゃらにではなく、それぞれがそれぞれに第一歩を踏み出そうとしている姿が微笑ましく感じられ、さらっと読み進めることができた。

巻末に淑江と清子と弥生・ひな子の漫画が描かれていて、小説のイメージと違わず面白かった。

ハラハラドキドキも無く、肩が張らない、それでいてなんとなく面白味が感じられ、27)で読んだのと共通の読後感いい物語だった。

 

29)辻村深月著『琥珀の夏』

理想の子供の学校を目指して作られた<ミライの学校>の跡地から白骨死体が発見されるという事件があり、弁護士・近藤法子のもとに自分の孫かもしれないので確かめてほしいという依頼がくる。というところから物語が始まる。

<ミライの学校>は法子も小学4・5・6年生の時サマースクールに参加していて、他人事と思えなかった事件だった。

白骨死体は誰か?サマースクールで知り合った子供たちはどうしているのか?今はどうなっているのか?

<ミライの学校>に参加していた当時のノリコや、そこで知り合ったミカ・シゲルとの話と、今の弁護士の法子と美夏・滋の話が交互に紡がれ物語が進んでいく。

躊躇しながらも美夏の弁護を引き受ける法子。

事件の真相を知った時の胸苦しさ!

親から引き離し子供たちだけで自立した生活していくという<ミライの学校>の理想は本当に子供を幸せにするのだろうかとの疑問!

文中の「お父さんとお母さんに、会えますように」と祈る小学1年生になるミカの言葉が切なくて、“子供は親を選べない”を思い出し、すべての子供が幸せであることを祈りながら読み終えた。

裁判での法子の言葉“子どもを保護する義務や責任を放棄したのは大人たちです”に胸が震えた。

読み応えのある小説だった。

 

30)佐藤青南著『連弾』

めっちゃ!面白い!推理小説だった。爆  笑

複雑そうでありながら、分かりやすいストーリー展開。

えっ!この人誰だっけかな?と迷子になることなく、どんどん読み進めていくことができた。

世田谷の高級住宅街にある公園で男の遺体が発見された。警視庁捜査1課の音喜多弦(おときたげん)は玉堤署刑事課の鳴海桜子(なるみさくらこ)とコンビを組んで捜査に当たることになった。

鳴海は音大出身の警察音楽隊志望者。

音喜多は戸惑いながらも鳴海と捜査を開始する。

事件のカギを握るのは今を時めく指揮者篁奏(たかむらかなで)。彼のの小学生から今に至るストーリーと殺人事件が起きた今と交互に話が進められていく。

ディスレクシア(失読症)の篁と相貌失認の鳴海。ハンディを抱えながらそれぞれの取った生き方がこの物語に影と光を与える。

久しぶりに寝るのを忘れて読みふけってしまった小説だった。

 

31)瀬尾まい子著『夏の体温』

2編の短編小説と教科書に載った1編からなる。

私の好きな瀬尾まい子さんにしてはちょっと物足りなさを感じた3編だったが、やはり温かい気持ちにさせられるのは間違いなしニコニコ

夏の体温:足にあざができるようになり、検査の結果、血小板減少が分かり治療のため長期入院中の小学3年生・高倉瑛介。退屈な日々の連続でストレスが溜まっていた。その病棟に同じ3年生の田波壮太が低身長検査で入院してくる。2人は気が合い一緒に遊ぶ。2人で過ごした短いが充実した時間。それは、読者に2人の未来にきっと希望を届けてくれると確信できるものだった。

魅惑の極悪人ファイル:大学生で小説家の大原。彼女は次回作のため捜していたストブラ(腹黒)。紹介されたのが倉橋。彼は取材を快く受ける。小説のために取材していくうちに、大原と倉橋の微妙な奇妙な関係性が生れてくる。

“どちらもイイ人ちゃうん”と思える面白さがあった。

花曇りの向こう:中学入学と共に祖母に家に越して、新しい中学に入学した明生。中々打ち解けられない日々。小さな駄菓子屋で見つけた梅干しのお菓子。それを手に取った川口君。明生のこれからの中学生活がほんのりと想像できる素敵なシーン!

 

32)富安陽子著『博物館の少女;怪異研究事始め』

著者が児童文学者だから?偕成社発行だから?

YAコーナーに置いておくのはもったいない!

すごく面白かった!

大阪の道具屋の娘だった花岡イカル。父に可愛がられ道具屋の店先にちょこんと座って父の仕事を見ているイカルだった。

しかし、13歳の時父と母が相次いで亡くなり、ひとりぼっちになったイカルは母の遠い親戚にあたる東京の大澤家に引き取られる。

ひょんなことでイカルの目利きの腕が見込まれ上野公園の博物館で仕事をすることになる。

実在の人物として、織田賢司(信長直系の子孫)・田中芳男(博物館2代目館長)・河鍋トヨ(河鍋暁斎の娘)が登場し物語に厚みをもたらしている。

台帳と収蔵品のチェックから始まる紛失物に絡んだ怪事件!

ワクワクしながら読み進め、怪異に対しても納得できる結末だった。

ルビが初めの1回だけでなく付けられていたことも有り難かった。

富安陽子さんの作品もっと読んでみたくなりました。