8月になったとたん猛暑続き![]()
“ためらわずクーラーを”に、そうするしかないけれど後の電気代に震え上がること必須
今から怖いわ![]()
7月は出版社が文庫本の夏特集の無料冊子を出しますが、私はこれが好きで書店に駆け付け手に入れます。読みたい本のチェックが楽しいです![]()
7月に読んだ本をまとめておきます![]()
32)遠田潤子著『冬雷』
施設で育った夏目代介。小学5年生になった時、日本海に面した小さな町魚ノ宮の千田雄一郎・京香夫妻の養子となる。千田家は魚ノ宮の名家で家と事業を継承するための養子であることを言い含められる。その第1は神事に欠かせない鷹匠となること。期待に沿えるよう一生懸命励む代助だったが、ほどなくして雄一郎・京香夫妻に男子が生れる。そしてその子(翔一郎)が行方不明になってしまうという事件が起こる。そこから代助の運命が翻弄されていく。
冬雷とは冬の到来を告げる地面から生える雷のこと。
行方不明から12年後に翔一郎の遺体が発見され一挙に終幕へと向かう。これで良かったのか?今までの代助の苦悩は何だったの?と思ってしまったあっけない幕切れだった![]()
33)今村夏子著『星の子』
主人公と語りは中学3年生の林ちひろ。
ちひろが生れながらの虚弱体質だったため、父が職場の人から紹介された「金星のめぐみ」という水を使い始めることに。その水を使い始めてからちひろは正常体質になる。そのことをきっかけに両親はその水を販売する宗教にのめり込む。
ちひろはその宗教に片足を突っ込んだ状態で中学生活を送っている。
こういう話をどう読んでいいのか分からないまま、特に面白くもなく、気が付けば最後まで読んでしまっていた。何も感想が出てこない小説だった![]()
34)ほしおさなえ著『活版印刷三日月堂:庭のアルバム』
こちらは前読了本2冊から一転、心温まる感動の物語だった。
川越で小さな活版印刷所「三日月堂」を営む月野弓子の物語第3弾!4話収録![]()
*チケットと昆布巻き:地元の情報誌「月刊めぐりん」を発行する小さな出版社に勤める竹野のお話。
三日月堂が印刷した「我らが西部劇」の刊行記念貸切イベントの取材で川越を訪れた竹野が、弓子と三日月堂の紹介記事を書く。この印刷所で採算が取れるのかと疑問を呈する竹野に“誰かのために何かを作ることで生きてこれたかな”と答える弓子。その言葉に自分の仕事に対する姿勢を見直すことにする竹野がとても良かった。
*カナコの歌:弓子の母カナコとカナコの大学時代の友人大島聡子のお話。
川越特集の文字が目に入り「月刊めぐりん」を手に取った聡子。そこで弓子を知り訪ねることに。弓子から大学時代カナコ・聡子と共に結成していたバンド仲間で今は音信不通になっている裕美のことを聞かれ、探し連絡を取ることに。久しぶりに会った聡子と裕美。二人はカナコがノートに書き留めていた短歌を活版印刷することにした。出来上がったカナコの短歌カードが今までのわだかまりをすべて流していく。短歌と活版印刷の取り合わせの妙が素敵だった。
*庭のアルバム:カナコの短歌カードを目にしたカナコの大学時代の軽音サークル仲間の娘、高校生の楓のお話。
短歌カードが活版印刷だということを知った楓は三日月堂のワークショップに参加することに。そこですっかり活版印刷に魅了された楓はお店を手伝うことに。活版印刷イベントで販売する予定のカードに楓の祖母の家の庭の草花スケッチを使うことを提案する弓子。
高校生になってやる気を失っていた楓は活版印刷と出会い、無くなってしまう祖母の家の庭の草花を描き止めアルバムを作りたいと思うようになる。楓の心の成長が嬉しくなった。
*川の合流する場所で:活版印刷イベント会場で弓子と悠生が出会うお話。
悠生は盛岡で一族で経営している印刷会社の一員。もう使われなくなった大型印刷機を保存している。その印刷機の動かし方について教えを乞うために弓子は盛岡へ行く。盛岡は弓子の母(カナコ)の出身地でもあった。弓子は三日月堂にある大型印刷機を使い、組んだ活字で本を作りたいという想いがあった。
悠生から印刷機の扱い方を教わった後、盛岡を案内され母を感じた弓子は思わず「お母さん・・」とつぶやく。3歳で母を亡くした弓子のつぶやきを耳にした悠生は“この人は呼んだことが無かったんだ。みんながお母さんお母さんと日に何度も呼ぶ時期に”と思う。
この悠生の温かさ・優しさ・思い遣りに号泣した。
この小説には人間の愛がギッシリ詰まっていて、それがさりげなく表現されていて、分かって読んでいるのにいつも感動で胸がいっぱいになる![]()
35)三上延著『江ノ島西浦写真館』
桂木繭は亡くなった祖母の遺品整理のため江ノ島にやってきた。繭の祖母は江ノ島で百年間営業してきた「江ノ島西浦写真館」最後の館主。
写真館には“未渡し写真”が残されており、それを客に引き渡すことから始めることに。それぞれの写真には謎が含まれており、現像過程や修正といった繭の写真知識が謎の解明に発揮され面白く興味深く読めた。
繭自身の写真によって傷つけてしまった幼なじみとも写真の整理をすることにより和解でき、後味の良い読後感だった![]()
36)誉田哲也著『世界でいちばん長い写真』
中学3年生の内藤宏伸。あだ名はノロブー。幼なじみで親友で人気者だった洋輔が転校してから、冴えないやる気のない学校生活を送っていた。
リサイクルショップをしている祖父のお店で不思議なカメラを見つける。「Mamiya RB67 ProSD」ぽい
ぐるっと360度切れ目なく写るパノラマ写真が撮れるらしい!
そのカメラを使いたいと思った時から宏伸の生活に光が射しポジティブモードに。卒業記念イベントに360度連続13回転パノラマ写真全長150mの“世界一長い写真”を撮ってギネスに挑戦
となった。
宏伸はじめ写真部部長三好奈々恵、いとこのあっちゃんと楽しい登場人物のキャラに引き込まれ、写真撮影に協力する生徒の笑顔とパフォーマンスがサイコーに良くて嬉しさでいっぱいになった。
単純な感情かもしれないけれど、好きです
この物語![]()