『桜の下で待っている』読みました | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

彩瀬まる著『桜の下で待っている』を読みました。


それぞれ花の名前のついた題名の短編小説5編が収録された短編集。


*モッコウバラのワンピース

  千葉に住む大学生の孫智也が宇都宮の祖母を訪ねる話


*からたち香る

  出版関係のデザイナーの律子が郡山にある婚約者の実家を訪問する話


*菜の花の家

  母親の七回忌で仙台の生家へ帰った武文の、姪の世話や中学の同級生との再会話


*ハクモクレンが砕けるとき

  叔母の結婚式のため花巻へ両親と向かう小学校四年生の知里(ちさと)の話


ここまですべて東北新幹線を利用して北へ向かい、その新幹線の中を車内販売のワゴンが通り過ぎ、その後目的地に降り立った主人公に目的地で起こる話になっています。


そしてこの短編集の最後の話は


*桜の下で待っている

  新幹線の車内販売員に転職したさくらとその弟柊二の話


それぞれの主人公はちょっとした小さな心配事を心の中に持っていて、この東北の場所を訪れたことによって、解決しないまでも前に進んでゆこうと思えるようになるとういう心の温まる短編集でした。


この作品の著者彩瀬まるさんは2011年のあの日、ちょうど東北旅行中に震災に遭われたそうです。


東北に住む人々に対する著者のエールを感じる作品集でした。


それから5年後の今、また今度は熊本で大震災が起こりました。


余震と呼べないような震度の地震が続いています。


今日九州新幹線が復旧したとニュースで報道されました。少しホットしますね。


直接現地へ行ってのボランティアはできませんが、想いを現地へ向けていたいと思います。