先日宝塚大劇場に行った際の新幹線の中で読み終えました。
志野靖史著『信長の肖像』を読みました。
宝塚歌劇団月組トップスター龍真咲さんの退団が発表されました。
その退団公演の演目の一つが『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』です。
真咲さんは信長を演じられます。
真咲さんの一番好きな人物だそうです。
私は信長については司馬遼太郎著『国盗り物語』を昔に読んだだけで
NHK大河ドラマで高橋英樹さんが演じられた信長を見ただけで
それ程詳しく知らないのです。
それで書名に信長と入っていたこの小説を読んでみました。
読んでみると私の思い違いが分かりました。
この小説は信長のことではなく、絵師狩野小次郎が主人公の話でした。
作者志野靖史さんは漫画家のようです。
漫画家でありながらいい小説を書かれたと思いました(漫画家と小説家は分野が違うという意味で)。
主人公狩野小次郎は実在の人物なのかどうか分かりませんが
狩野派狩野松栄や永徳が登場し興味をそそられながら読み進めました。
永徳は金ぴかの障壁画や屏風が得意としますが
主人公小次郎は扇の絵付けをする扇絵師。
似せ絵を得意とし、その絵を信長に気に入られます。
信長に乞われて武田信玄を、浅井長政に乞われてお市を、お市に乞われて浅井長政の似せ絵を完成させます。
そして信長自身の似せ絵を乞われながら、完成する前に信長は本能寺の変で亡くなってしまうというストーリーが小次郎の生い立ちと共に紡がれています。
読みやすく読後感もさわやかでした。
小説とは離れてしまうのですが安土城や大阪城の築城に際し内装を手掛けた狩野派の作品が落城と共に燃えてしまったのは何とも残念なことと思われて仕方ありません。
今残っていたら国宝間違いなしだし、私のような庶民でも見ることができたでしょうにね!