【BLノベル】

ニライカナイ2
~此岸の徒花~
 
高岡ミズミ/斑目ヒロ/花丸ブラック
(『ニライカナイ~此岸の徒花~』(2015)高岡ミズミ、花丸ブラック文庫、表紙より)
 
 
◆この表紙。「綺麗」の一言です。
1巻のカラーイラストはもう危機迫るっていうか、阿鼻叫喚してましたが、2巻のカラーイラストは、すっごく綺麗です。血も流れていますが、これ程美しい殺しのシーンが、未だかつてBLノベル界に存在したでしょうか!!!(いや、あると思うけど、今この時点でダントツ!!!)っていうくらいの美麗な絵になっております。
ご覧の通り、こっち(2巻)は逆に表紙が厳ついテイストになってます。一見するとこれも綺麗な絵なんですが、後ろから迫りくる大男と、大きな手。うわー怖いわー。そんでこの清貴の何とも言えない表情。怯えているのか、何か悩んでいるのか、悲しんでいるのか、後悔しているのか、まるで悪魔に(後ろの男)とって食われる生贄のような受けになってます。最高においしいです。
 
 
キンドルにて購入。レビューにも書いたけど、すごくよかったわ!!!
1巻読んでからの方が流れはスムーズですが、2巻読んでからの1巻でも私はアリと思います。2巻の方が展開が読みやすいかも。
一巻感想はこちら
 
 
*これは、絶対に本編を読んでからブログを読むことをお勧めします。
 
 
●あらすじ
1巻で水虎の「たま」と、めでたく結ばれた伊織。伊織の叔父にあたる清貴は、父の営む骨董品店『青嵐』にて、珍しい立派な大鉈(なた)に触れ、鉈弦(じゃげん)を呼び醒まして(人型にして)しまった。
 
 
 
 
●ネタバレありの感想です
 
徒然なるままに・・・
◆まずは、1巻のたまと伊織のその後がちょいちょい出てくるのが本当に嬉しいです。
 
伊織「――忙しすぎて、ゆっくりやる間もないくらいだよ」
 
伊織はその手で悪いものを浄化する力を持っていたが、清貴は生者の心の声を聞く能力を持っている。予期せず、大好きな甥とはいえ、性事情について頭に流れ込んでくる。
 
何か微妙な空気になってしまってるけど、全然です。むしろここは、甥の幸せな性活を喜ぶべきところだと思います。でも私のように、下世話なネタにニヤニヤと反応しないんですよ清貴は。何ならそういうところ奔放なのは伊織の方なんですよね。
 
 
◆ちなみに伊織は、たまと結ばれるために頑張ったのはアニマル浜口さんばりの「気合いだ!!」って感じで、特に「浄化」の力は大して駆使してませんでしたが。清貴は若い頃、その声を聞く能力によってか、鉈に刻まれた文字を読んで触ったら、鉈が人型に変身したんです。それが清貴と鉈弦の出会いとなります。
 
たまと一緒にいる為に、地獄に出向いては閻魔様のお手伝いをする(させられている)伊織だが、今回は清貴に用があると言われ、地獄へ行くことになる。
 
どうしようもない理由にて離れ離れになった鉈弦と清貴ですが、地獄で久しぶりに、自分が人型に変えてしまった鉈弦と再会します。でも鉈弦は自分をすっかり忘れて閻魔様の近くで働いているという。
 
 
◆この再会シーンの挿絵、めちゃ好きです。鉈弦がかっこいい。清貴もかっこいい。良い男2人で最高~♥♥四十路を過ぎても女性を知らなかった清潔感ある清貴の佇まい。ステキすぎる。鉈弦の粗暴さと清貴のパリッとしたスーツの清潔さがまたらなくコントラストしてます。何だろうなこの・・・清貴のえろす・・・幸薄そうだからかなwイケメンなのに仕事もできるのに、人付き合いも表面上は卒なくこなすのに、幸薄い感じ。そこがたまらなく良いですwww
 
なんでだろう。四十路すぎて童貞って、現実だったらギャグ要員として映画化でもしそうなもんだけど、BLの受けさんにはなぜか有り。むしろグッとくる。よくぞここまで処女を守った!!てなりますよね。
 
まぁそれも、今まで攻め様以上に好きになれる相手に出会えなかった・・・ということですよね。めっちゃモテるイケメンの家計の池端家の男なのに、伊織よりもイケメンという描写あるのに、そういうところまでコトが至らなかった理由も書かれてるけど、私としては鉈弦が忘れられなかったと解釈。
 
 
◆そして鉈弦を人型に変えた自分にしかできない仕事があるからと閻魔様にお願い(命令)され、鉈弦と一緒に人間界にて悪さする厄介な悪鬼を退治する任務を遂行することに!!!
 
 
◆「現世の記憶のない鉈弦にほっとする半面、ちくりと胸が痛む」清貴ですが、何かあるのかな??昔、何があったんだよーー!!!って凄くすごーく気になります。
 
何か、裏切ったらしい。何か、胸が痛むようなことをしでかしたらしい。1巻もだいぶ一気に読んでしまったけれど、2巻はそれよりもぶっちぎりでした。
仕方なかったとはいえ、逃げた自分を裏切り者と思い、鉈弦は過去を思い出しても、自分を許さないだろうと思う清貴。
 
 
切ない。この辺、だいぶ、胸が苦しいです。こじつけ感なく、すんなりと清貴の葛藤が胸を締め付けてきます。
本当に、どうなるんだろうって心配してました。過去を思い出すのか、思いださないのか、思いだしたらどうなるのか。清貴と自分の過去を知るのか、それとも知らないままか・・・知ったらどうなるのか。過去を思い出さず、自分と清貴の過去を知らされもせず、それでも好きになるのだろうか・・・と、気が気じゃない。
 
 
現世にてたまに、
 
「水虎か。飼い猫はすっこんでろ」
 
と言う鉈弦。イケメン虎の「たま」を飼い猫呼ばわりとは。おいしすぎる。ご馳走さまです!!!たぶんマジで鉈弦の方が強いんだと思いますが、こういう台詞に小さく悶えます。伊織の前のたまは、まさしくゴロニャンだもの。それはもうこのニライカナイ読んだ読者全員、満場一致。
 
そういえば、作者さんの魅力は「ワイルド&セクシーだ」と、過去の記事で書いたのですが、もうこのニライカナイ(特に1巻)は、そういう次元じゃなかったですね。本当にいろんな引き出しをお持ちの作者さんです。でも一応この2巻に関しては、ワイルドを鉈弦が、セクシーを清貴が担当していると感じました。
 
 
 
 
◆エロスめっちゃ焦らされたw
 
短い間ですが、現世で一緒に悪鬼を探す旅をする2人。鉈弦は何度も清貴にやらせろって迫るのに、なっかなかOKしない清貴。やっぱ処女だからw初めてをなかなかOKしない女子高生(アラフォーですが)です。でもでも、この焦らしプレイが良い感じにハマってて、最後にちゃんと結ばれたときの感慨といったら。最強でした。そういう意味でもこちら(2巻)の方が、おそらく万人受けする話かもなって感じです。なので2巻(これ)読んでから1巻読むのも有りかもって思います。もちろん1巻も面白いんですけど、こっちの方が読みやすいような気がするということ。
 
濡れ場の挿絵もめっちゃ良いです!!清貴も180cmくらいあるのに、鉈弦の大男っぷり。えろえろだわ~ちょっと乗っかってチューしてるだけなのに、すっごくエロスを感じてやばいです。鉈弦の粗暴感は圧巻で、対する清貴の清潔感、セクシー、おぼこ感、おいしすぎます。
 
 
◆「――俺のものになれ。清貴、おまえが欲しい」
 
文章を読んでパソコンで打ち込むだけの作業なのに、恥ずかしくなるクッサい台詞です。...はずかしーよー。こんな台詞、夫に言われたら無視するだろうな。でも、そこは荒くれ者の2メートル超えの、やんちゃ坊主の鉈弦だから、なんか嬉しい。
 
鉈弦を人型にしてすぐの頃は3か月だけ一緒に暮らしていた。でも心地いい関係を壊したくなくて、そういう誘いをはぐらかしていた。でもそれを清貴は、心の中では「浅はかな考えだった」と思ってますから、その後何年も離れ離れになるくらいなら・・・と、後悔しているんだなと解釈して、すごく切ないです。
 
この清貴のグチグチ悩むところが、すごく切なくておいしい部分になってます。ともすれば女々しくなりそうなところ、そういうわけでもない。作者さんの書く受けは本当に女々しくなり過ぎない。(他作品ではどうか分かりませんが。)
 
人間界で生きるのは無理と判断して男らしく(たぶん心の中ではめっちゃ後悔したんでしょうけれども)手放しています。
 
切な〜〜〜〜切なすぎる〜〜〜〜〜〜
 
 
◆「てめえはこの鉈弦様が叩き割ってやる」
 
清貴が悪鬼にやられそうになったときの鉈弦の台詞!!
もうどっちが悪役だか分かんないようなこの台詞!!!(^O^)/これだけ見たら、鉈弦が悪役と言っても過言じゃないね。だって、鉈弦様ですよ。古い館にいて手下を何人も囲って女子供を拐ってはいたずらするような悪役の台詞かと思いましたよ。
男前です。
 
 
 
 
 
 
 
 
◆最後に
 
全然、3巻いけたやろー!!!何でシリーズ化しなかったんだー!!!って読了後、叫んでしまうくらい面白かったです。私がファンタジー好きだからっていうのは多分にあると思いますが。
 
閻魔様と誰かくっつかないかなーって思ってたけど、まさかのお父上??お父様が閻魔様と一時でも恋人同士だったのかなと思うような匂わせる個所ありましたね。でもお父上はきっと閻魔様と一緒にいるわけにはいかんという感じで死期を迎えて普通に死んだんじゃないかなと予想。たまと伊織みたいにずっと一緒にいられる妖と人間が凄くすごーく稀なんだよって何度も文章に出て来ましたしね。それを閻魔さまがやったらダメなんでしょうきっと。
 
いやーでも続編読みたいーこれは、続編読みたい。めっちゃ面白かったのに・・・閻魔様の幸せは??篁の幸せは??パパ(伊織にとっては祖父)の思いは??読みたかった。伊織の力を使ってまた何事件を解決してよー地獄と人間界を行き来して「鬼灯の冷徹」ばりのハッピー地獄ライフを堪能させて下さーい。清貴と鉈弦のらぶ&えろすを・・・って、欲求が湧いてきて湧いてきて温泉わいちゃってます。
 
 
というわけで、すっごくツボな物語でした。高岡先生、斑目先生、ありがとうございました。